気象予報士・伊藤みゆきさんによる季節の彩りパトロール。11月のテーマは「虹」です。虹といえば夏というイメージがありますが、実は晩秋から初冬も虹のシーズンで、とりわけ今の時期には「時雨虹(しぐれにじ)」が見られます。また、今月の「季節の言葉」は「小春日和」について紹介します。

本格的な冬が来る前に見られる「時雨虹」

 暦の冬の到来は、「立冬」である11月7日。ただ今年は暦よりやや早く、先月半ばに冬の空気が最初のあいさつに訪れました。

 上空に強い寒気が流れ込み、北海道では初雪・初霜・初氷など気象の世界で「ハツモノ」と呼ばれる季節の便りが相次ぎました。関東や東北の山々も雪化粧し、急に季節が前進しました。

 南北に長い日本列島、春や秋は北と南で気温の差が大きくなりますが、冬は日本海側と太平洋側で天気が大きく異なる日が増えます。

 この天気を分けるのが脊梁山脈(せきりょうさんみゃく)です。北西の季節風に乗って流れ込む寒気が日本海側には雲を広げて雨や雪を降らせ、山を越えると乾いた空気に変わって太平洋側に晴天をもたらします。このため日本特有の冬型の気圧配置・冬の天気分布となります。

今季初めて冬型の気圧配置になった10月20日の天気図。冬本番にはこの気圧配置が数日続くが、晩秋は1日限りのことが多い
今季初めて冬型の気圧配置になった10月20日の天気図。冬本番にはこの気圧配置が数日続くが、晩秋は1日限りのことが多い

 11月は強い寒気が長期滞在することはほとんどなく、しばしば日本付近を通り過ぎ、その都度「冬への心構え」を促します。

 冬型の気圧配置になると、太平洋側は「木枯らし」のような強い風が空を掃除。澄んだ青空が広がるものの、風が冷たく空気が乾きます。一方、日本海側は「時雨」に。背の低い雲が次々に空を横切り、晴れたり降ったり変わりやすい天気になります。

 関東で生まれ育った私は、時雨という天気を経験したことがなく、初めて遭遇したのが10年前でした。11月半ば、滞在中の札幌を強い寒気が通過して手稲山が雪化粧、その山を雲が次々に隠すように雨が降ってはサッと晴れる。「こんなに小刻みに天気が変わると、晴れとも雨とも言いづらいな、これが『時雨』という言葉で伝わるのか」と心に刻みました。