テキストコミュニケーションで気をつけたい言葉は?

── 具体的な切り返し方をありがとうございます。コロナ下でオンラインのチャットやメールでのやりとりも増えていますが、気をつけることはありますか。

大野 「上から目線」「命令口調」にならないように気をつけたほうがいいですね。チャットだからこそ、「お疲れさま」「今日は暑いね」といったひと言があってもいいのでは。先ほどビジネスの場では「シンプルに分かりやすくするのが大事」と言いましたが、気遣いも何もかもすっ飛ばして、「用件のみ」にするのはビジネス上の関係構築に逆効果です。

 また何人ものメンバーが見ているチャットで、個人を名指しするのは避けましょう。例えばグループチャットで「みなさん、明日は○時から会議があります。遅刻しないようにしましょう」と注意喚起するのはOKですが、「○時からの会議にAさんが遅刻しました。みなさんも注意しましょう」というのはNG、ハラスメントになりかねません。

苦手な相手ほど文字でやりとりしがちだが、電話で話したほうがスムーズに進む場合がある。「文字の応酬にならないよう、チャットと電話と上手に使い分けましょう」
苦手な相手ほど文字でやりとりしがちだが、電話で話したほうがスムーズに進む場合がある。「文字の応酬にならないよう、チャットと電話と上手に使い分けましょう」

── 手軽にすぐコミュニケーションが取れるツールだからこそ、気遣いを忘れてはいけませんね。

 ただ、これまでに取り上げたような言葉は、言ったほうは気づかず、悪気がなく使っている人もいるかもしれません。でも、積み重なると言われた側にはモヤモヤがたまります。どうしたらいいでしょうか。

大野 特に仕事では、自分から上司・同僚・取引先など相手を選べません。そんな中でフラストレーションをためないには、「どの人とも適度な距離感を保つ」ことが重要です。苦手な人であっても、自分によくしてくれる人であっても、です。普段から「私は私」「あなたはあなた」という距離感で仕事をしていたら、モヤッとする言葉や、不意打ちで何かすごく強い言葉を言われたとしても、それほど傷つかずに済みます。

 でも、「仲良くしていたのに」「信頼していたのに」という人から、きつい言葉を言われるとダメージが大きい。気心知れたつもりで甘えや依存心を持っていると、傷つくどころか「裏切られた」という思いが生まれ、フラストレーションが増幅されて攻撃性をはらんだコミュニケーションに変化してしまう恐れがあります。

 職場は仕事をする場所。親しみは必要ですが、なれなれしさは必要ありません。どの人とも適度な距離感を取るのが大事です。

── そうですね。仕事は一人ではできませんし、どの人ともフラットに接することができたら、心の平穏を保てそうです。

大野 その上で、自分のストレスマネジメントをすることを心がけましょう。「自分がどんな言葉に傷ついたのか」「何にモヤッとしているのか」を把握しておくことも必要です。1日に5分でも、1週間に1度でも日記などを書いて自分を振り返れたら理想的ですが、忙しい人は難しいかもしれません。そんな場合は「今日はこんなことを言われた」と気持ちが動いたときだけでもいいので、心の中で振り返ってみてください。

 実は自分の心を見つめるのは、つらいし、面倒な作業です。でも、これをやっておかないと「自分がどういう状態なのか」「何にモヤモヤしているのか」が分からなくなり、自分の心を自分で把握できなくなってしまいます。自分を客観視できるようになれば、「この人のこういう言葉にモヤッとするんだな」と一歩引いて見られるようになると思います。

前編・職場でのモヤッとする言葉 「曖昧」は具体的に確認 ←今回はココ
後編・家族・友人からのモヤる言葉には「返答集」で対策を

取材・文/三浦香代子(日経xwoman) イメージ写真/PIXTA