もっと楽しくAGCの技術や魅力を伝えたい
現在、AGseedのメーリングリストに登録している社員の数は300人超。コロナ禍で活動がほぼオンラインに移っているためか、ここ1~2年で参加者が急増したという。また、人事部や技術本部といったスタッフ部門と研究開発部門の社員が中心に活動するが、最近では製造部門の社員も増えている。参加者の年次は幅広く、男女比率は全体社員と同様の8対2で、活動内容はさまざまだ。
「もともと島村は、部署や規模、内容を問わずに機動性を持って積極的に若手の活動を推奨していたので、1つの団体として『これをやろう』というより、あちこちで若手社員が集まって活動を始めるというケースが多いです。中には、人事・総務部中心で集まって活動をしているチームもあれば、全社で組織風土を改善するための対話を企画するチーム、各工場にもさまざまな有志活動があります。チームのメンバーが重複していたりもするので、誰が何に参加しているのかが分からない状態になっています(笑)。でも、逆に社内全体に広がっていることなのでいいことだと捉えていますよ。会社が若手を含めていろいろな人のチャレンジを応援する姿勢を示してくれているので心強いです」(北野さん)
この活動は、AGCの魅力や技術を従来型の展示だけでなく楽しく発信できないかと若手社員の間で議論したときに生まれたものだ。たまたまスポーツ好きのメンバーがそろっており、「ガラス×スポーツでアプローチしてみよう!」という発想に発展した。
例えばAGCにはプロジェクターによる映像投映ができる特殊ガラス「グラシーン」がある。みんなで知恵を出し合い、スポーツ弱者をなくすことを目標とする一般社団法人「世界ゆるスポーツ協会」と特殊なガラスを活用した「○×ゲーム」を共同開発するに至った。
子どもたちに○×ゲームを試してもらったときのことを「ガラス上でゲームができることに『うわー、すごーい!』と楽しんで遊んでくれていました。開発者冥利に尽きます」と冨依さんはうれしそうに話す。
他にも、日本ブラインドサッカー協会と一緒にブラインドサッカー用の競技設備向けフェンスを開発したプロジェクトもある。
「日本ブラインドサッカー協会の人たちと話す中で、さまざまな課題が見つかりました。例えば選手は目が不自由なため、プレーを円滑に行えるようコートを囲うフェンスが必要です。フェンスは激しいプレーで耐久性が求められるものの、観客からもプレーが見やすい透明な素材は存在しませんでした。
そういう課題に対してフェンスの『強度』『透明性』『耐候性』という観点からアプローチできないかと思いました。プロジェクトが本格化すると、AGCの若手社員と現場に行き、ヒアリングしながら共同開発を進めました。2018年に合成樹脂のポリカーボネートで作った透明フェンスが完成し、公式試合に導入されています。これはAGCのCSRにも貢献できたプロジェクトになったと思います」と冨依さんは言う。