10月22日公開の映画『ビルド・ア・ガール』は、文才と想像力を武器に大人社会に飛び込んだ英国の高校生・ジョアンナが音楽ライターとして奮闘し、失敗や挑戦を繰り返しながらがむしゃらに成長していく青春ストーリー。原作小説を執筆したキャトリン・モランさんはジャーナリスト、作家、テレビ司会者でもあり、2011年出版の『How to Be a Woman(女になる方法)』がベストセラーに。女性のエンパワーメントに貢献し続けています。『ビルド・ア・ガール』の原作小説はモランさんの経験が基になっています。英国でも若い女性が音楽業界でキャリアを築くことが難しかった90年代初頭。モランさんがぶつかった壁や挫折とは? ジェンダーギャップや女性活躍の課題に直面し、日々葛藤する女性たちへのアドバイスやメッセージを、映画の見どころとともに聞きました。

ビーニー・フェルドスタインさん演じる主人公ジョアンナ(左)、映画『ビルド・ア・ガール』原作者のキャトリン・モランさん(右)
ビーニー・フェルドスタインさん演じる主人公ジョアンナ(左)、映画『ビルド・ア・ガール』原作者のキャトリン・モランさん(右)

「膝の上に乗りなさい」が最初に遭遇したセクシズム

日経xwoman編集部(以下、──) 映画では、自分のあるべき姿を模索しながら音楽ライターとして奮闘する高校生・ジョアンナが印象的でした。モランさんが観客に最も注目してほしいシーン、あるいは、最も自分とジョアンナ(演じたのは俳優のビーニー・フェルドスタインさん)を重ねたシーンはどこでしょうか?

キャトリン・モランさん(以下、モラン) 作中のほとんどは私が実際体験したものですから、たくさんありましたね。その中でも、とある仕事の現場で男性に「僕の膝の上に乗りなさい」と言われるシーンは、初めてセクシズムと対峙した経験を反映したものかもしれません。それに対するジョアンナの返し方は、ひどい男性に会ったときに有効な手段だと思うのでぜひ注目してほしいです。またジョアンナが体形について冷やかされるシーンもありますが、好きなものをたくさん食べてぽっちゃりしたって、それはまた新たな武器になるんじゃないかって思っています。

「作中には、自分の経験と重なる場面はたくさんあります。どれも思い入れがありますよ」と話すモランさん
「作中には、自分の経験と重なる場面はたくさんあります。どれも思い入れがありますよ」と話すモランさん