ポップカルチャーにはフェミニズムを後押しする役割がある

── 今年のジェンダーギャップ指数ランキングで日本は120位で、G7の中でもジェンダー分野に関してはかなりの後進国ですし、女性自身が日常的な差別を自覚していない側面もあるように思います。そんな日本では、ジェンダーギャップを縮めるために何が必要だと思いますか?

モラン 残念ながら政治や教育から変化を起こすには何十年もかかってしまうので、個人的にはベストな方法ではないと思っています。一方で、変化を生む上でポップカルチャー(大衆文化)はとても有効です。日本に、歌手のビヨンセみたいな、多くの人が憧れるような強いポップカルチャーのアイコン的存在がいるかは分からないけど、男女平等を目指そうとか、フェミニストになりたいとか、人々に変化したい気持ちを持ってもらうためには、「私もこんなふうになりたい」と思える存在がいるといいのではないでしょうか。

 「本当に?」と思うかもしれないけど、たった一つのTV番組で世の中が変わることだってある。『セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)』はそのいい例。あの番組が英国で放送される前は女性がカクテルを飲むとか、セックストイを持っているとか、バーに集まって男性の話をするなんて、少なくとも男性は想像もしていなかった。でも、「何だか楽しそう!」と思った女性たちがハイヒールを履いてカクテルを飲みにバーに出かけるようになった。実際セックストイの注文数も伸びたらしいですよ(笑)。

── SATCの影響力は確かに日本でも絶大でした。モランさんが今注目しているムーブメントはありますか?

モラン ロシアを代表するフェミニスト・パンク・ロックバンドのプッシー・ライオットの(抗議活動として公共の場で即興の演奏を行う)行動は本当に勇敢ですね。また、最近ではアフガニスタンの女性たちが自らの権利を訴えているのを見ていると、自分たちのためだけでなく、周りの人たちのために動ける人々は素晴らしいなと感銘を受けますね。

 ムーブメントと同時に、重要な役目を果たすのはポップカルチャーだと思います。ビヨンセや同じく歌手のリアーナのようなポップアイコンがいることは、本当に心強いものですよね。みんなに愛され、かつ「女性は男性より弱くて劣っていて面白くないもの」なんていう思い込みや差別意識を払しょくしてくれる存在。政治だけではなくてカルチャー面からの後押しも大切だから、『ビルド・ア・ガール』もそんな作品であればいいなと願っています。

取材・文/真貝友香

ビルド・ア・ガール
10/22(金)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
配給:ポニーキャニオン、フラッグ
https://buildagirl.jp/