10月11日は国際ガールズ・デー。変化が目まぐるしく、予測のつかない時代に、より良い社会を実現するチェンジメーカーとして女性の力が不可欠です。そっと背中を押してくれたり、がつんと奮い立たせてくれたり、エンパワーしてくれるエンタメ作品。書籍、映画、そして最新ポッドキャストからライター・真貝友香がセレクトしてお届けします。
定番の1冊、クラシック作品を読み返してみよう
小説『若草物語』
ルイザ・メイ・オールコットによる自伝的小説としても知られる往年の名作『若草物語』は、幼少期に本を読んだ人もいるかもしれません。これまで何度も映像化されたことでも知られており、世界名作劇場のTVアニメ『愛の若草物語』を見ていた読者も多いはず。2019年には、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のタイトルで改めて映画化されました(日本公開は2020年)。
しっかり者でコンサバな長女メグ、活発で勝ち気な次女ジョー、内気で控えめな三女ベス、おしゃまで芸術家肌の四女エイミー。4姉妹がじゃれ合ったり、取っ組み合いでけんかしたりと、にぎやかでかしましいマーチ家の日々がつづられています。
作者のオールコット自身がモデルの次女ジョー目線で描かれるストーリー。保守的だった時代に、彼女が作家としての夢を追う姿は今もなおみずみずしく映ります。改めて読み返すことで気づくのは、周りの大人たちが4姉妹に与える好影響です。
4姉妹の母、ミセス・マーチは敬虔(けいけん)なクリスチャンで奉仕の精神にあふれる人物。決して裕福ではないながらも常に他人を思いやる姿は賢母そのもの。その清く美しい心持ちはなかなかまねできないものの、4姉妹が素直で、お互いの才能や長所を認め合い、真っすぐな心を失わないのは、メンターとしての母の影響が大きかったのだと納得させられます。また、マーチおば(4姉妹の父のおば)は文化や教養面において、彼女たちにチャンスを与え続けてくれる存在です。
時代や境遇の荒波にもまれながら、いかに自分らしく生きていくか。これは私たちにとっても切り離せないテーマなのかもしれません。