多様性に関して先進的な取り組みで知られる東京都渋谷区で、注目の人事がありました。生え抜き48歳の杉浦小枝さんが副区長に就任したのです。なぜ彼女が抜てきされたのか、今までのキャリアを振り返ってもらうと、そこには誰もが納得できる「積み重ねてきたもの」がありました。

 2015年に全国に先駆け、同性カップルのパートナーシップ制度を導入するなど、先進的な取り組みで注目を集める渋谷区。そこに新たな女性のリーダーが誕生した。10月1日から区長を支えるNo.2として副区長に就任したのが、杉浦小枝(すぎうら・さえ)さんだ。「生え抜きの職員としては、おそらく都内でも異例の若さでの抜てきだと思われます」(広報担当)

長谷部健区長(右)と、杉浦小枝さん(左)
長谷部健区長(右)と、杉浦小枝さん(左)

 議会の同意を得て、杉浦さんを副区長に任命した区長の長谷部健さんは、「彼女は私が就任するよりずっと前から、いずれはリーダーになると区役所内で言われていた存在。それなら時期を早めればいいと考え、今回の抜てきに至りました」と語る。長谷部さん自身も、15年に43歳で渋谷区長に初当選。ダイバーシティを当初から重要課題の一つに掲げて区政を運営してきた。

 「渋谷区役所が新しい庁舎になって今年で2年目。働き方を含め、ようやくいろいろと変わり始めたところです。さらにアクセルを踏んで新しいことを突き進めていくためには、行政の経験や知識が豊富で、強いリーダーシップを持つ杉浦さんの力が欠かせないと思っています。

 この新庁舎の建て替えの際も、先頭に立ってプロジェクトを進めたのが彼女です。交渉力にもたけている」(長谷部さん)

 新・副区長の杉浦さんは、大学卒業後、建築の技術職として渋谷区役所に入庁。以来、地道な取り組みで難しいプロジェクトを成功に導くなど、着実にキャリアを積み上げてきた。なぜ今回、抜てきに至ったのか。杉浦さんにこれまでのキャリアを振り返ってもらうとともに、今後のビジョンについて話を聞いた。