両親と観光中に突然の激しい腹痛! とっさについたウソ

 人は自分ががんだってことを、どうやって知るものでしょうか? わたしの場合、最初の異変は腹痛でした。

 ゴールデンウイーク頃、福岡から両親が孫に会いにやってきたので、「東京観光といったらやっぱり柴又帝釈天やろ~」と思い、両親を連れ観光にレッツゴーしました。実は数日前から少し、右のお腹が痛いなと感じていました。少し痛い程度で、普通に仕事もできていたのです。

 ところが、こんな楽しい行事の日に限って痛い! 車に乗っていて痛い、車を降りても痛い、痛い。

 駐車場から帝釈天の方へ少し歩いて、参道で息子がばーば(私の母)たちにベビーカステラを買ってもらっているとき、無の境地に至りました。うえー、痛過ぎて悟り開きそう……ちーん。

 それでも大人の読者さんなら分かると思いますが、上京してきた両親には心配かけたくない。っていうかいいトコ見せたい。ウソでも元気なフリしたい。立派に育った娘が観光案内してくれるなんて、両親の人生の中でもけっこういいシーンじゃないですか。ここでギブアップするわけにはいかない! でも痛くてもう歩けない、作り笑顔にも限界値ってものがある!

 わたしはウソをつきました。「ちょっと車で仕事の電話かけてから行くけん、先に行っとってー」

 家族を見送って、真っ先にやったこと。「葛飾区・病院」で検索! 帝釈天の近くにあった病院で診察してもらった結果は「ただの胃炎」。わたしもそんなもんだろうと思っていたので、痛み止めの薬をもらい、飲んだら痛みも治まってきたので家族と合流して、お参りしたり、矢切の渡しに乗ったり。楽しく観光して無事、両親を空港へ送り届けました。

駆け込んだ病院で待っていたのはイケメン医師

 ところが2日たっても4日たっても、お腹が痛い。どんどん痛くなる。なんだかちょっとこれは、ただ事ではない気がしてきました。痛いのはお腹の右上、ここが痛むのは? まさか最悪の場合、肝臓がん? これは……と不安になり、自分が出産したときにお世話になった大きな病院に向かったのです。

 お腹が痛い場合って何科に行けばいいと思いますか? よくわからなかったので、わたしは寝起きのままボロボロの姿で這(は)うように、とりあえず内科へ行きました。

 そして診察室のドアを開けてみると、そこにいたのが! めちゃくちゃイケメンのお医者さん! 「今日はどうしましたか?」とニコっ! 何を後悔したってメイクしていないことのほかにありません。ばかばか。自分のばか(病気なのに何のテンションでしょう)。

 イケメン医師は軽く問診をした後、「腹痛ですから念のため、泌尿器科と婦人科にも行って戻ってきてください」と言いました。泌尿器科行って~、婦人科寄って~、最後に私が寄ったのはトイレです。トイレでばっちりメイクして、髪も整えて、内科へ戻ったときの見た目はもう別人でした

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構成・文/たむらようこ イラスト/八谷 美幸