「自分の指示を聞いていないのではないか」「やる気が足りないのではないか」――。成果を上げられない部下を見て、そんなふうに思ったことはないだろうか。実はどちらも、間違い。「仕事ができない理由」は2つしかないのだ。
「言った通りにやれ」では、何もできない
現場リーダーや管理職の皆さんは、自分のチームや部署の成果を上げつつ、メンバーや部下を育成していくという役割を担っています。そんな中、いくら指導をしても思い通りに成果が上がらない「仕事ができない部下」に対して、いら立ちを覚えることもあるのではないでしょうか。
「どうして自分の指示した通りにできないのだろう」「結果が出ないのは、真剣に取り組んでいないからだ」「もっとやる気を出してほしい」――そんなふうに考えたり、言葉にして部下を叱責したりしたことがある人もいるでしょう。
ここで一つ、お聞きします。あなたにそうやって叱責された部下はその後、「できるように」なったでしょうか? きっと、ならなかったでしょう。
「仕事ができない部下」に対して、「できない理由」を個人の能力や意欲のせいにして叱責したところで、部下の意識が変わることはありません。「真剣にやれ」「やる気を出せ」といった漠然とした言葉で叱咤(しった)激励されても、部下はどうしたらいいのか分からず戸惑うだけです。それどころか、個人攻撃や人格否定をされたと感じ、不信感を募らせてしまうことさえあるでしょう。

「仕事ができない部下」に対して、「できない理由」を個人の能力や意欲のせいにして叱責したところで、部下の意識が変わることはない