2020年に外資系医薬品会社のメルク・ベトナムの社長に就任した池田秀子さん。新卒で日系企業に就職した後、ロンドンでのMBA取得、外資系企業への就職と挑戦の連続。いかに「自律的」にキャリアを構築してきたのか、前後編でお伝えします。
メルク・ベトナム社長

2、経営を学びたい…MBA留学で考え方を広げ、人と出会い、自分のキャリアは自分でつくる感覚を獲得
3、異業種で幅を広げたい…仕事を一つひとつ終える度に「自分はこれができるようになった」と実感した
4、社長になりたい…大企業から小さな企業への転職
新卒1年目で新規顧客開拓プロジェクトを立ち上げ
日経xwoman編集部(以下、――) 池田さんのキャリアのスタートについて教えてください。
池田秀子さん(以下、池田) 新卒で入社したのは日本電信電話(NTT)でした。「人々の生活に不可欠な仕事がしたい」と思い、お客様のニーズにあった最適なネットワーク環境の提案をしたかったので就職しました。
「よし頑張ろう」と思ってキャリアをスタートしましたが、いきなり壁にぶつかりました。配属された部署では当時「若手の女性社員には大事なお客様を任せられない」という風潮が残っていて、思うような仕事がなかなか巡ってこなかったんです。そのため自分で顧客開拓することにしました。狙いをつけたのは、日本にオフィスを立ち上げる外資系企業。与えられた仕事の合間を縫って、外資系企業に営業攻勢をかけるチームを作りました。
私一人の力では無理なので、同じ部署のやる気がある若い社員に声をかけたり、年次が上の社員にサポートしてもらったりすることから始めました。最終的にかなり大きな金額の受注に成功し、入社2年目で大きな売り上げを記録したことで、新規外資系顧客といえば、私というような存在になり、正式にプロジェクトを任せてもらえるようになりました。
大きな仕事は待っていても巡ってこない。若手とチームを組んで営業攻勢をかけた。一人では無理でも、力を合わせれば大きな仕事ができる。成功すれば、入社して数年でも大きな仕事を任せてもらえる。
―― 新卒からすごい行動力ですね。外資系企業に営業するための語学力はどうやって身に付けたのですか?
池田 英語を使う仕事がしたかったので就職後も終業後に英語でビジネスケースを討議するクラスで勉強していました。夜間学んだ言葉を昼の営業で生かしながら身に付けていきました。
―― その努力が実って入社2年目でプロジェクトリーダーになったんですね。
池田 外資系のお客様をどんどん回してもらえるようになり、売り上げの成績が良かったため入社3年目で経営企画に配属されることになりました。
しかし、私は経営については視野が狭すぎたので仕事についていくことが難しく、経営企画では優秀なフリをした落ちこぼれ社員だったと思います(笑)。それで「経営のことをもっと理解したい」と思うようになりました。また当時は経営企画に多くの社員がいる中で女性は少なく、その環境で続けるのが難しいと感じていました。入社から4年半で退職し、MBAを取得するためにロンドンビジネススクールに留学しました。