前編では、キャリア自律が必要な時代背景、社員・企業の実態や課題を紹介しました。では、キャリア自律を促進するために、個人、そして企業はどんなことを意識して、行動するべきなのでしょうか? 前編に続き、リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所所長の古野庸一さんに聞きました。

前編 社員が「自律」しても、転職するとは限らない
後編 キャリア自律 第一歩は自分の「不安」を言葉にすること ←今回はココ

不安や不満の言語化でキャリア自律の糸口をつかむ

 前編では変化の激しいこの時代に自律的キャリアを志向することが、個々人に求められていることが分かりました。では、自律的にキャリアを積むにはどんな意識や行動が大切なのでしょうか。

 「キャリアを受動的に考えてきた人が、自律的な行動に出るきっかけとして多いのが『私はこのままでいいのかな?』という将来に対する不安と、もう一つは現状への不満です。まずは、少しでもこうした感情があるなら、それを言語化してみてはいかがでしょうか

自律的キャリアのきっかけは現状への不安や不満
自律的キャリアのきっかけは現状への不安や不満

 キャリアコンサルタントの世界では『不安に名前を付けろ』と言います。例えば、原因不明の体の不調は非常に不安ですが、風邪だと分かれば安心して対処することができます。キャリアについても同様です」

自律的キャリアへの道 ポイント1
不安を言語化

自身の不安や不満に「名前を付ける」。可視化することが自律的なキャリア形成のきっかけになる。

 自己を理解し、将来の展望を持つことも重要です。「自己を理解する」というのは、自分の能力を発揮できる仕事上の得意分野が見つかっている、自分はどんな仕事をやりたいのか明らかであることです。「将来の展望」については、これからのキャリアをより充実したものにしたいと強く思い、キャリア設計は自分にとって重要な課題であると自覚することが大切です。