廃棄フルーツを活用した「無添加こどもグミぃ〜。」を開発した猪原有紀子さん。前編ではグミ開発までの道のりを紹介しました。後編では、和歌山県へ移住後に始めた観光農園の事業計画や就農の経緯について聞きました。
前編 廃棄フルーツから無添加グミ開発へ 3児ママの挑戦
後編 クラファンやSNS、プロの助言…全部味方に農業の道へ ←今回はココ

猪原有紀子(いのはら・ゆきこ)
猪原有紀子(いのはら・ゆきこ) 1986年生まれ。2009年に同志社女子大学学芸学部を卒業。新卒入社した会社ではWEBマーケティングを担当。グロービス経営大学院で学びながら赤字の子会社の再建に尽力する。2018年に和歌山県伊都郡かつらぎ町に移住。2020年10月に「無添加こどもグミぃ〜。」の販売を開始。現在は、親子で自然体験ができる観光農園「くつろぎたいのも山々。」の来年オープンを目指している。
猪原有紀子さんの「キャリア自律」のポイント
1、やったことが無い・・・その道のプロの助言を求める
2、SNS・・・使い方次第で、資金集めの強力なツールになる
3、過去の挫折・・・未来の原動力。「自分は社会の役に立てる」と信じる

ママが「疲れない」観光農園を作りたい

日経xwoman編集部(以下、――) 「無添加こどもグミぃ〜。」が発売と同時に大人気となったわけですが、猪原さんは現在どんなことに注力しているのでしょうか?

猪原有紀子さん(以下、猪原) 親子で自然体験が楽しめる観光農園「くつろぎたいのも山々。」の来年オープンを目指しています。

―― なぜ観光農園を作ろうと思ったのでしょうか?

猪原 移住してから、ご近所のブルーベリー農家で子どもたちが摘みたてのブルーベリーを食べている姿を見たのがきっかけです。みんなとにかく夢中なんですよ。それを見ていて、「なんて豊かな体験なんだろう」と感動したんです。こんな自然体験をママやパパ、子どもたちに楽しんでもらえる観光農園を作りたいと思いました。

 でもせっかく観光農園に来ても、子どもが周囲に迷惑をかけないよう追いかけ回していたら親はくつろげないですよね。うちの3兄弟も本当にやんちゃで、どこへ行っても周囲に気を使います。だから子どもに「静かにして!」と言わなくていい、ママが疲れない観光農園をコンセプトにしています。

開業予定の観光農園
開業予定の観光農園

―― ママが疲れないようにするために、どういった配慮があるのでしょうか?

猪原 お客様を子ども連れに、ある程度限定する予定です。例えば、金土日は「子連れ限定」、他の曜日は「子連れ歓迎」のコンセプトをご理解いただいた方のみを予定しています。

 また、スタッフには子育てを経験したことのあるママを採用しています。スタッフがお子さんを見守り、オムツ変えスペースなど子連れに必要な設備を充実させることで、親もくつろげる観光農園を目指しています。

 観光農園では夏はブルーベリー狩り、秋はシイタケ狩りを楽しむことができるようにする予定です。芝生スペースにひよこを放し飼いしているので動物との触れ合いや、クワガタなどの虫捕りをすることもできます。グランピングやバーベキュー施設も準備しています。

―― なぜブルーベリー狩りとシイタケ狩りなのでしょうか?

猪原 農業経験ゼロなのですが、調べるとブルーベリーの養液栽培は未経験者でも成功率が高いと分かったんです。2019年4月に養液栽培のシステムと50株の苗を購入し、家の裏手の土地で栽培を始めました。新規就農の審査を受ける際に、「ブルーベリー栽培だけでは通らない」と言われたので、原木シイタケ2000本の栽培も始めました。