企業に所属しながら他の会社でも働いたり、会社の肩書を使って他社の仕事を請け負ったり、働き方は多様化の一途をたどっています。そんな中、もしもこれまで背負ってきた会社という看板をいきなり外して「自分の名前だけで仕事を取りなさい」と言われたら、どうしたらいいでしょう。実際に「自律的キャリア」を築いている人に話を聞きました。今回は、隠していた専業主婦の期間をカミングアウトし、「元専業主婦」キャリアコンサルタントとしての道を切り開いた鈴木祐美子さんです。
2.「元専業主婦」経験を生かした
3.考えていないで、まずは動く!
「社会から取り残された」そう感じていた専業主婦時代
日経xwoman編集部(以下、――) 「元専業主婦」のキャリアコンサルタントと銘打って活動する理由は何ですか?
鈴木祐美子さん(以下、鈴木) 31歳から約7年間、専業主婦をしていた一般人の私でも、正社員として職場復帰して社会に貢献できることを、多くの人に知ってほしいからです。「専業主婦になったらビジネスキャリアは終わる」というイメージを払拭したいと思っています。とはいえ、最初から「元専業主婦」を自分のキャッチコピーにしていたわけではなく、私自身が「元専業主婦」だったことが、思いを伝えるために必要なキーワードだと気づいたからです。
私は社会人になってからずっと人材関連の業務に携わり、結婚しても変わらずキャリアを積み重ねるつもりでした。ですが、夫の転勤や出産により仕事を続けることは難しく、不本意ながら退職、専業主婦になりました。当時、夫とは同じ会社に勤めていました。転勤先は3名しかいない支店。当時は、そこに夫婦がいるのはよろしくないという暗黙の圧力がありました。
専業主婦になった私はいつしか「社会から取り残された」と思うようになりました。同時に、育児が一段落したらキャリアコンサルタントとして働きたい思いがあり、資格を取得しました。
実際に仕事を再スタートしたとき、やはり専業主婦期間がコンプレックスになりました。ビジネスの感覚をつかむために、ビジネス特化型SNSのLinkedInを始めましたが、そこでも初めは専業主婦だったことを隠していました。
LinkedInでは、社会から取り残されていた時間を巻き返すつもりで、毎日、ネット上の新聞記事から興味あるものをシェアし、サマリー(要約)をつけて投稿していました。ですが、あるときふと「投稿者の人柄や考えが分からなくてつまらない」と思いました。そこで、サマリーではなく、自分なりに記事を分析、解釈して、意見を書くようにしました。