大企業の若手・中堅社員を中心とした約50の企業内有志団体が集う実践コミュニティ・ONE JAPAN 。2021年10月31日に同団体主催のカンファレンス「ONE JAPAN CONFERENCE 2021」がオンラインで開催されました。「DXで変わる、企業と日本の未来」「ダイバーシティ&インクルージョンー ジェンダーギャップを乗り越えるために必要なこと」など多彩な16セッションの中から今回は「新時代を生き抜くために必要なキャリア自律」についてのリポートをお届けします。
自らのキャリアについて主体的に考え、キャリアを築いていく

Plug and Play Japanの藤本あゆみさん(以下、藤本) 今日のテーマは「新時代を生き抜くために必要なキャリア自律」です。これからの時代は、一人ひとりが自らのキャリアについて主体的に考え、キャリアを築いていく「自律」が必要となります。キャリア形成には世の中や社会、会社の動きも大事ですが、自分自身の変化も求められますね。ゲストの皆さんはこれまでを振り返ったとき、自分自身や社会の変化について思うところはありますか。
日本アイ・ビー・エム、日本アイ・ビー・エム・デジタルサービスの井上裕美さん(以下、井上) 日本アイ・ビー・エムではコンサルタントやプロジェクトマネージャー、アーキテクトといったIT系の専門職があります。昔は、「Role and Responsibility(R&R)」といって「自分の役割と責任の範囲を正しく見極めなさい」と言われていました。ところが、最近はそのR&Rを果たすのは必要最低限のことで、「さらにどうやって今までの枠組みを超え、いろんな人とコラボレーションできるか」を問われるようになりました。自分のキャリアを豊かにするためには枠を超え、さらにその先には「ウェルビーイング」の観点も必要です。最終的に人生として一番楽しいことは何なのか。幸せの価値観は人によって違いますから、その人生を自分で切り開く、そこに重きを置く人が増えてきていると感じています。
藤本 昔は会社が用意してくれたレールやはしごがありましたが、今はそれを自分で考えないといけない時代になってきましたね。
ビズリーチの酒井哲也さん(以下、酒井) 自分の若い頃と比べると、大きく3つの変化があったと思います。1つ目はデジタル技術の普及による情報のオープン化、2つ目はダイバーシティ、多様な価値観が受け入れられていることですね。3つ目は新型コロナウイルス下におけるコミュニケーションの変化です。情報の取捨選択やコミュニケーションの質が大きく変わってきています。
藤本 確かにコロナ下ではテキストでのコミュニケーションが増え、流れが変わりました。この2年間の変化はすごかったですね。
サイバーエージェントの曽山哲人さん(以下、曽山) 私は社会人歴が24年ほどありますが、自分が社会人1年目の頃と何が違うかというと、1つ目は人生100年時代ですね。長期にわたって複数の仕事ができるほど人生の幅が広がってきており、先ほど井上さんが言ったようにウェルビーイングを意識して生きる期間が長くなってきています。
2つ目はDXです。デジタル化によって無駄な仕事がどんどん削られ、これからは人間が人間らしくある仕事の価値が上がるのではないでしょうか。人の感情に向き合ったり、人と対話をしてチームをつくったりすることが大事になると思います。そうすると会社と家族だけだとちょっと物足りなくなり、第三の場所・サードプレイスが必要になるでしょう。それは副業でも、趣味のマージャンでも、スポーツでも何でもいい。サードプレイスがあることによって選択肢、仲間、つながりが増えて豊かなキャリアが築けます。今日のこのセッションもまさにサードプレイスですよね。
酒井 僕は会社もサードプレイスという意味では同じだと思っています。コロナ下で特定の人とばかりコミュニケーションを取るようになり、「会社でたまたま人と会う」「偶発的に仕事が生まれる」機会が減ったのではないでしょうか。会社の中での薄いつながり、サードプレイス的な場所がなくなると苦しくなるなと感じます。