近年、目にすることが増えてきた「グリーンウォッシュ」。あたかも環境に配慮したかのような製品、表示や広告に使われる言葉ですが、企業が意図せずしてグリーンウォッシュに陥っている事例もあるといいます。一人の消費者として、またビジネスパーソンとして、グリーンウォッシュを広げないためにできることを環境NGO「環境市民」代表の杦本育生さんに聞きました。

前編・グリーンウォッシュって何?見抜く・防ぐ5つのチェック ←今回はココ
後編・グリーンウォッシュ対策の先進国 北欧に学ぶ取り組み

日経xwoman編集部(以下、――) 近年、「グリーンウォッシュ」という言葉を目にすることが多くなってきました。そもそもグリーンウォッシュとは、どういう意味なのでしょうか。

杦本育生さん(以下、杦本) グリーンウォッシュとは、企業の製品、表示や広告が「あたかも環境に配慮して優れている」または「他社製品よりも優れている」かのように装ったり、誤解を与えたりすることです。もともとは英語に、汚れた壁を白く塗ってきれいに見せかける「ホワイトウォッシュ」という言葉がありますが、それをアメリカの環境団体がもじって使い始め、世界中に広がりました。

 気を付けたいのは企業が意図している・意図していないにもかかわらず、グリーンウォッシュとなる場合があることです。

―― どんな事例がありますか。

杦本 海外では石油会社がきれいな海とともにガソリンをPRしたり(実際には石油採掘の際に海洋を汚染している)、自動車メーカーが電気自動車を運転している人にホッキョクグマが抱きついて感謝するCMを放送したりして(電気自動車も製造、電力を発生する際にCO2が発生する)、問題になったことがありました。

 日本で見かけるのは、自動車が草原など自然の中を走っていて、あたかもその車がエコカーであるというようなイメージを与えるCMですね。原材料の一部に有機栽培された植物を使っているだけで「オーガニック」と表示した化粧品もあります。「地球にやさしい」「エコ」「グリーン」「ナチュラル」といったキャッチコピーや商品パッケージもよくあります。

一見、環境に配慮したかのような製品、表示・広告でも根拠がない、誇張である場合はグリーンウォッシュとなる
一見、環境に配慮したかのような製品、表示・広告でも根拠がない、誇張である場合はグリーンウォッシュとなる

―― せっかく広告費をかけて宣伝したのに、逆効果となる場合もあるのですね。

杦本 そうです。消費者はその広告や表示を信じて製品を買うわけですから、後からその情報が間違いだという事実を知ると「だまされた」と感じます。それ以降、その企業が発信した情報を信用できなくなり、その1社だけではなく、家電製品なら家電業界全体を信用しなくなるかもしれません。結果として環境に配慮した製品を選ぶことをやめてしまい、企業側も「消費者が買わないのなら」と環境適応型製品の開発をやめてしまう。悪循環で、環境への負荷が増える一方になります。

 だから、グリーンウォッシュは危険なのです。

―― 海外に比べ、日本はグリーンウォッシュに対する取り組みが遅れているのですか。

杦本 欧米ですと国の規制当局(日本の消費者庁に相当)が罰金を科したり、広告業界団体が厳しい自主規制を設けて広告を取り下げたりしています。日本では環境省がグリーンウォッシュのガイドラインを発表しましたが、規制はなく、企業の担当者を集めての研修なども行われていません。