近年、目にすることが増えてきた「グリーンウォッシュ」。環境に配慮したかのような製品、表示や広告に使われる言葉ですが、ひとたびグリーンウォッシュと見なされると、企業は信用を失い、回復するには時間がかかります。自社が間違った情報発信をしないようにするため、ノルウェー在住のジャーナリスト鐙麻樹(あぶみ・あさき)さんにグリーンウォッシュ対策先進国である北欧の取り組みを聞きました。

前編・グリーンウォッシュって何?見抜く・防ぐ5つのチェック
後編・グリーンウォッシュ対策の先進国 北欧に学ぶ取り組み ←今回はココ

グリーンウォッシュ倫理行動が企業の指針に

日経xwoman編集部(以下、――) 日本ではグリーンウォッシュという言葉を見かけるようになってきました。北欧ではすでに浸透していますか。

鐙麻樹さん(以下、鐙) そうですね。北欧では3~4年前からグリーンウォッシュという言葉を目にするようになり、今では企業がグリーンウォッシュをすると大手メディアがニュースとして取り上げます。メディア各社ではグリーンウォッシュや気候変動危機といった環境問題を扱う専門記者を養成しているところもあります。

―― 例えば、どんなニュースがありましたか。

 2021年10月、ノルウェーに新ムンク美術館が開館し、建築する際にリサイクル建材を使うなど「環境に配慮をしている」とアピールしていたのですが、スポンサーに石油会社がいたことから「グリーンウォッシュだ」との指摘を受けました。

 ノルウェーは石油輸出国なのですが、石油メーカーが「我々が輸出する石油は他国のものよりもクリーンだ」という広告を出し、問題になったこともありました。

―― スポンサー企業までチェックしているとは、厳しいですね。

 北欧諸国では環境保護団体の活動が活発なんです。私が住んでいるノルウェーには、WWFノルウェーや「未来を私たちの手に」という環境保護団体があり、企業のグリーンウォッシュに目を光らせています。何か問題があれば企業に対して「この広告の意図するところは」と異議申し立てを行い、企業からの回答も公表します。そうした環境団体からの情報発信をメディアがニュースにするため、市民も関心を持っています。

ノルウェー国際報道協会のプレスツアーでごみ処理場と環境対策を取材する鐙さん。北欧ではメディアも市民も環境対策への関心が高い
ノルウェー国際報道協会のプレスツアーでごみ処理場と環境対策を取材する鐙さん。北欧ではメディアも市民も環境対策への関心が高い

―― 目にする機会が多いと、問題意識が高まりそうですね。日本では自社の広報やSDGsを担当しているけれども、グリーンウォッシュに対して「どこから手を付けたらいいか分からない」という人も多いと思います。何かアドバイスはありますか。

 2020年にWWFノルウェー、「未来を私たちの手に」、ノルウェーの消費者庁が協力して策定した「グリーンウォッシュ倫理行動」が発表されました。ホームページがあり、賛同した企業が登録すると、企業名が公開されます。

 こちらはこれから日本の企業が取り組みを始める際にも参考になると思うので、紹介しましょう。