ライフスタイルアクセント(熊本市)は、2012年の創業当初からエシカルな経営をうたい、日本発の工場直結型ファッションブランド「ファクトリエ」を展開しています。2019年には「COTTON PROJECT(コットンプロジェクト)」を始動。山梨にあるオーガニックコットンの農場やユーザーの自宅で種まきや草むしりをしながらコットンを育て、それを使ったTシャツを着てもらおうというプロジェクトです。ライフスタイルアクセント代表の山田敏夫さんに、アパレル業界のSDGsにおける課題や使命について話を聞きました。

日経xwoman編集部(以下、――) ライフスタイルアクセントは、2015年9月の国連サミットで「SDGs」が採択されるよりももっと前から、環境に配慮したビジネスモデルを展開していますが、どのような理念で取り組んでいるのでしょうか。

山田敏夫さん(以下、山田) 「語れるもので、日々を豊かに」をミッションに、ファクトクリエのアイテムを身に着けた人の心の温度を一度でも上げたいという思いがあります。誰かからプレゼントされたものや昔から使っているものなど、「もの」にストーリーがあると、持っていてホッとできたりテンションが上がったりしませんか。ファクトリエはそういうストーリー性があり、長く使いたいと思ってもらえるようなアイテムをつくっています。

 こう考える背景には、両親が商店街でお店を営んでいたことにあります。商店街の中に家もあったので、一つの商いを長く続けることやお客さんと長く関係性を築くことの大切さを目の当たりにしていました。

ライフスタイルアクセント社長の山田敏夫さん。実家は、熊本市内で100年以上続く老舗洋装店を経営している
ライフスタイルアクセント社長の山田敏夫さん。実家は、熊本市内で100年以上続く老舗洋装店を経営している

 一方で、現状のアパレル業界は、長く続けたり一つのものを大切にしたりするというよりは、「どれだけ安くつくれるか」に重きを置いてしまっています。バングラデシュやベトナムなどの途上国を拠点に人件費や工場の製造コストを下げ、利益を搾取することがまかり通っています。

 搾取が続く限り、ゆがんだ業界構造は変わらず、持続可能な社会にもつながりません。さらに、アパレル業界はずっと環境問題に負荷をかけています。国連貿易開発会議(UNCTAD)は、アパレル業界は世界で第2位の環境汚染産業だと発表しています。

 アパレル業界が「どうすれば社会と共創できるのか」「どうすれば社会とwin-winの関係でいられるのか」を考えた結果、ファクトリエは日本の工場と消費者をダイレクトに結びつけ、工場に適切な利益を、消費者には適正な価格で商品を購入してもらう工場直結のビジネスモデルになりました。