プラスチックまみれの生活、どうすれば?

中嶋 たくさんあります。台所、お風呂、日々の身だしなみ……意識すれば、多くの場面で私たちはプラスチックの消費量を減らすことができます。最初のステップとしては、自分たちの生活がいかに「プラスチックであふれているのか」ということを、一人ひとりが自覚することかと思います。

 例えば、いま、あなたが着ている服。上着でも、下着でも、原材料が書かれているタグを見てみてください。ポリエステル、ナイロン、もしくはアクリルという表記が一つはあるのではないでしょうか。それは化学繊維で、つまり石油由来のプラスチックを主原料にした繊維です。

 部屋を見回してみると、壁紙は塩化ビニール樹脂ですし、ゴミ箱にはポリプロピレン樹脂が使われています。じゅうたん、カーテン、空調機……私たちの回りで石油由来のプラスチックが使われていないものはほとんどないのではないでしょうか。

「日々の生活の中で、プラスチックを減らすことはできる」(中嶋さん)、写真はイメージ
「日々の生活の中で、プラスチックを減らすことはできる」(中嶋さん)、写真はイメージ

── 気にしてみると、まさに現代人の生活は「プラスチックまみれ」ですね……。プラスチックなしでは生活が成り立たないのではないでしょうか?

中嶋 いえ、ストレスを感じずプラスチックを減らすことはできます。例えば、洗濯洗剤。多くの人が液体洗剤を使っていますが、それを粉末にするのはどうでしょう。液体洗剤はプラスチックの袋に入っていますが、粉末は紙でできた箱です。その他、お風呂にあるせっけんをポンプ式から固形せっけんに変えてみるのもいいです。ポンプ式の容器はプラスチックですよね。台所の洗剤だって、固形のものがあります。

 上記で挙げた例はほんの一例です。ストレスを感じずに、家庭で使うプラスチックの量を減らすことができる取り組みは、まだまだたくさんあります。私が共同運営する情報サイト「プラなし生活」では、普段の家庭生活の中でストレスを感じずにプラスチックを減らす方法を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

中嶋亮太
中嶋亮太 1981年生。生物海洋学者(博士)。JAMSTECグループリーダー・副主任研究員。現在、大きな問題となっている海洋プラスチックの研究に取り組んでいる。海底に沈むプラごみの現状に関し、現場に足を運び研究している。著書に『海洋プラスチック汚染: 「プラなし」博士,ごみを語る』(岩波科学ライブラリー)。情報サイト「プラなし生活」を共同運営。

取材・文/飯島圭太郎(日経xwoman)、イメージ写真/PIXTA