出産後、0歳の第1子を連れて渡米し、大学院へ進学した保倉冴子さん。大手企業やベンチャー企業での社会人生活を経て、社会人7年目のときに海外大学院への受験を決意します。大好きな会社を辞めてでも学びたいことがあったという保倉さん。その背景にはどのような思いがあったのでしょうか。この連載では、保倉さんの留学記をお届けしますが、初回である今回は、留学に至った背景をじっくり話してもらいました。
30歳で0歳児と共にニューヨークへ
はじめまして。保倉冴子です。
私は日本で7年間の社会人経験を経て、2021年9月にコロンビア大学教育大学院へ入学しました。現在は0歳児の子どもとニューヨークに住んでいます。
コロンビア教育大学院は、緑豊かな敷地が広がっています。青空の日には、散歩をしたり芝生に寝ころんで読書をしたりなど、みんな思い思いに過ごしています。
今まで映画やドラマで見ていた世界が目の前に現れ、道を歩くだけでも心がウキウキ! 「念願かなって、憧れのコロンビア教育大学院に入学できた。頑張ってよかった」と、大学生以来の学生生活に胸が高鳴ります。
ただ、大学時代と大きく変わるのは、私が母親になっていること。0歳の子どもとニューヨークに来ているのです。
子連れ海外留学? しかも0歳児と? など驚かれる人も多いでしょう。でも実際に一番驚いているのは私自身かもしれません(笑)。
自分らしく生きるために学ぶ
私が留学に踏み切った理由は、Adult Learning(成人教育)とリーダーシップを学ぶためです。成人教育は、まだ日本ではなじみが薄い言葉だと思いますが、「大人になっても主体的に学び続ける生涯学習のこと」をいいます。
日本では、多くの大学生が学校教育を卒業すると、再び学校に入って学ぶ機会が一気に減ります。新卒で企業に入社し、その後は会社で実践経験を積んでいくパターンがほとんどでしょう。しかし、Adult Learningでは社会人になり、仕事やコミュニティなど、他者と関わり合いながら、「自分自身が変化するための学習」がいかに重要なのかを学びます。
この分野について学ぶ道を選んだのは、社会人経験の中で、「変化の激しい世の中でも、自分らしく生きたい」と思ったからです。私自身、学生時代より社会人時代に経験したことのほうが価値観や人生観に大きく影響しています。誰しもが自分を深く知り、変わり続けるために、Adult Learningを学ぶことは大切だと思うのです。
しかし日本だとこの分野について学べる大学院が多くはありません。そのため、より専門的に学ぶことができるコロンビア大学教育大学院とハーバード大学教育大学院への受験を決意しました。