人生は、考えて、決断し、実行することで、自分が手綱をしっかり握れるのだと感じています。そのための最初のステップとして、自分と向き合って自分の価値観を知り、自分の限界を受け止めてから、強みと弱みを仕分ける。私はいつも、そうしています。

 ここでは、自分が選びうる選択肢を並べ、そのなかから絞り込んで決めるまでの過程について、少しお話しします。

いつも中心に「私」を置いて考える

 それは、自分の内側をのぞき込むかのような主観的な視点ではなく、客観的に自分を見つめる作業です。自分を大きな円の中に置いて、それを外から見るようなイメージ。私はいつもこのイメージを頭の中に描いています。

 すると、自分と自分の置かれた状況を観察できるようになるのです。 さて、あなたが今やってみたいと思っていることは何でしょうか。何でも構いません。ちょっと一緒に考えてみましょう。

 例えば、子育て中の人で「転職したい」という気持ちがあるとき、その理由を考えます。「子どもの教育費捻出のために収入を増やしたい」のか「もっと自分の適性や能力を生かせる仕事がしたい」のか「子どもに手がかかるので、制度の整った両立しやすい会社に行きたい」のか。

 このすべてをかなえるには、給料が高くて、適性や能力が生かせて、子育てしやすい環境が整った会社に転職できればよいけれど、そんな会社にはたくさん応募が殺到するはず。誰もが手に入れるのは難しい。

実際、こうした希望をかなえられる人はごく限られた人ですよね。じゃあ、どうするか
実際、こうした希望をかなえられる人はごく限られた人ですよね。じゃあ、どうするか

 では、すべてを満たすことが難しい場合、現実的な話として、自分は何を優先させるのかを考えます。