私さえ我慢すれば…

 一つには、私さえ我慢すればなんとかなるかもしれないという思いがあったからです。30年も一緒に過ごした大切な家族だし、傷つけられたわけじゃない。彼の気持ちを考えると申し訳なさも募ってくる。そもそも仲が悪いわけでもない。ただ生き方が同じ方向を向いていないだけ。こんな理由で壊してしまっていいものなのかどうか。

 そして、もう一つは、離婚後の経済的な不安でした。

 そうこうしているうちに、気持ちがふさぎ込んできて、このまま車にぶつかって死ねたらいいな、なんて考えている自分に気づき、精神科を受診しました。うつ症状だったのですが、うつになるほど苦しんでいた自分を目の当たりにして驚きました。

 決め切れずにうつ状態に陥った私が動けるようにドクターとの最初のセッションのとき、「私はあなたのよしあしをジャッジするわけではない。部屋を出たら忘れるので、全部話したほうがいいですよ」と言われました。私は早くよくなりたくて、心に浮かんだことをすべて話しました。ネガティブな思いもすべて。

 そこで分かったことは、自分の中で「離婚する」という意志は固まっていること。それなのに決断できないのは、自分が一人で生活していけるのか、経済的な不安が大きいからでした。自分の本心と真剣に向き合って初めて、そのことにようやく気づいたのです。

 どうしたらこの不安は解消されるのかと思っていたら、ドクターがこう言いました。