軽井沢移住後も、東京時代と同じ会社に勤めていた櫻井泰斗さん。テレワークも今ほど浸透しておらず、軽井沢-東京間を新幹線で通勤していたそうです。今回は泰斗さんに、新幹線通勤にかかるコストや通勤時間を有益に過ごすためのポイントを聞きました。

1本目 夫婦で軽井沢に移住してみた、決断までの道程と葛藤
2本目 軽井沢、駅近賃貸に住んでみた 後悔の先に見えたもの
3本目 軽井沢 満を持して、土地を探し・家を建て・住んでみた
4本目 軽井沢~東京 新幹線通勤のリアル 職住近接からの変化 ←今回はココ

日経xwoman(以下――) 泰斗さんは軽井沢移住後、東京のオフィスまで新幹線通勤をしていたそうですね。軽井沢-東京間を毎日のように往復と聞くと、大変そうなイメージですが、実際はどうだったのでしょうか。

櫻井泰斗さん(以下 泰斗) テレワークが広がり、現在は東京に行く回数は大分減りましたが、それまでは週3〜4回の新幹線通勤をしていました。京橋のオフィスまでドアtoドアで2時間、その後恵比寿のオフィスに変わった後は、2時間20分かかりました。朝7時台の新幹線に乗り、9時半に出社。帰りは20時までの帰宅を目指すには16時〜17時台に乗るときもあれば、会議続きで22時すぎの最終電車になるときもありました。そうすると、家に着くのは深夜になりました。

わずかなタイムロスで自宅でのプライベートタイムが大きく削られてしまうことも…(写真はイメージ)
わずかなタイムロスで自宅でのプライベートタイムが大きく削られてしまうことも…(写真はイメージ)

心掛けたのは業務のタイムマネジメント

泰斗 夕方以降の新幹線は数が少ないので、わずかな時間のロスで帰宅時間が大きく変わってしまいます。会議時間がたった10分オーバーしただけで、乗ろうとしていた電車を逃すことになります。自宅でのプライベートタイムが30分から1時間も短くなってしまうので、業務時間のタイムマネジメントをより厳密にするようになりました。少なくないお金と労力をかけてオフィスに来ているので、「リアルで集まる必要がある会議」なのかどうかを考えるなど、仕事上の無駄には非常に敏感になりましたね。冷静に考えてみると「この仕事はテレワークでもできたのでは……」というケースが少なくなかった。これは、東京時代に職住近接で仕事をしていたときには気付いていなかったことでしたし、労働時間という概念以上に、自分の人生の限られた時間をいかに有効に活用するか、という意識は強くなりましたね。

櫻井ユウコさん(以下、ユウコ) 子どものお迎えなどの時間をやり繰りする働くお父さんやお母さんなどもきっと同じだと思うのですが、オフィスにいる終わりの時間が決まっているほうがかえって能率が上がるようです。「新幹線乗車中の1時間はすごく集中できる」と当時、泰斗さんは話していました。それから、普通の電車よりも終電が早いため、夜中0時近くになるような深夜残業もなくなりましたね。

泰斗 お客さんとの会食などで、遅くなることがあらかじめ分かっているときは、最初から宿泊前提で出勤していました。そもそも軽井沢駅から自宅までは車なので、アルコールが入るときは泊まるしかないのですが。

── 金銭面での負担はいかがでしたか。

泰斗 軽井沢駅からオフィスの最寄り駅までの定期代が、月々約13万円ちょっとです。加えて、自宅から軽井沢駅までのガソリン代と、軽井沢駅に車を停めるための駐車場代もかかりますし、先ほど話したように月に2回くらいは東京に宿泊することもあったので、ホテル代もかかります。

 ただ、新幹線代については、当時の会社が補助してくれたので、実質の自己負担額は月々約5万5000円でした。会社がどのくらい負担してくれるかは、会社によってまちまちです。全額支給の会社もあれば、月◯万円までと上限が決まっている会社もある。新幹線通勤を考えている人は、まず自分の会社の交通費支給規定を調べるといいと思います。

── 時間面・金銭面以外にも大変だった点はありましたか。