地方移住すると生活費はどう変わるのか。櫻井夫妻が住む軽井沢には、寒冷地ならではの支出があるそうです。増えた支出、減った支出は何か、お金に対する価値観はどう変わったか…。話を聞きました。

1本目 夫婦で軽井沢に移住してみた、決断までの道程と葛藤
2本目 軽井沢、駅近賃貸に住んでみた 後悔の先に見えたもの
3本目 軽井沢 満を持して、土地を探し・家を建て・住んでみた
4本目 軽井沢~東京 新幹線通勤のリアル 職住近接からの変化
5本目 コロナ下で失業 収入源多角化のありがたみ知る
6本目 軽井沢へ移り住んで「増えた」「減った」支出は ←今回はココ

日経xwoman(以下、――) 地方移住すると「生活費が抑えられそう」というイメージがあるのですが、実際はどうなのでしょうか。

櫻井泰斗さん(以下、泰斗) 場所によってさまざまだと思いますが、軽井沢暮らしの生活費は決して安くはありません。東京時代より高いものも多いです。例えば、車の維持費。公共交通機関が発達している都心と違い、軽井沢では車は必須です。わが家は普通車と軽自動車の2台を所有してますが、ガソリン代や車両保険、自動車税などもろもろ合わせると、年間70万円ほどかかります。

―― 決して安くはない金額ですね。

櫻井ユウコさん(以下、ユウコ) 寒冷地で車を持つと、よりお金がかかるんです。冬はスタッドレスタイヤへの交換も必要になるし、そうなるとタイヤ代や交換手数料も余計にかかります。それからガソリン代です。出発5分前にはエンジンをかけて、暖機運転をしなくちゃいけない。当然ガソリンはかなり消費しますし、おまけに長野県はガソリン代が日本有数の高さなんです。

泰斗 それから光熱費も高いですね。特に冬場の暖房費。賃貸時代は石油ストーブ、今は薪(まき)ストーブを使っているのですが、2人暮らしで月に3万円、ひと冬で15万円くらいかかります。

自動車の維持費で年間70万円程度はかかる(写真はイメージ)
自動車の維持費で年間70万円程度はかかる(写真はイメージ)

ユウコ 今はオール電化にしたのですが、賃貸時代はガス代もかなりかかりました。軽井沢はプロパンガスの物件が多くて、都市ガスと比べると2倍近く高額になります。冬は氷のように冷たい水を温めなくてはいけないので、必要とするエネルギー量も多い。

泰斗 もう一つ、田舎ならではなのが、下水事情です。都市部であれば、生活排水は下水処理場に流して処理できますが、われわれが住んでいる場所では個別に浄化槽を設けて、そこで生活排水を処理しなくてはいけないんです。この浄化槽の管理費や清掃代も、年間で8万円くらいかかります。

ユウコ これらは夫婦2人暮らしの場合で、家族が多ければ、暖房代にしろ、浄化槽のメンテナンス代にしろ、もっとかかると思います。

 軽井沢の場合は、「田舎」でかつ「寒冷地」であることが、お金がかかってしまう理由ですね。生活費の面だけでいえば、もっとずっと安く暮らせる場所はたくさんあります。公共交通機関が発達している地方都市は、コスパが良いでしょうね。

―― 「地方」でもまったく違うのですね。逆に「減った支出」はありますか?