ベンチャーやスタートアップ企業は資金調達をする手段の一つとして、ベンチャーキャピタル(VC)からの出資を検討することも多くあります。しかし、出資後の起業家とベンチャーキャピタルの関わり合いは意外と知られていません。その関係性とは? 第4回に登場するのは、中小企業向けにAI(人工知能)による契約書レビューサービスを提供するリセ(東京・中央)代表の藤田美樹さんと、起業家を支援するグローバル・ブレイン(東京・渋谷)でディレクターを務める田﨑茉莉花さん。田﨑さんは、藤田さんの「4児を育てる弁護士で経営者」という経歴に驚き、興味を持ったといいます。
・27歳のときに第1子を出産する
・企業の研修制度を利用し、子どもと共にニューヨークへ留学
・ニューヨークで法曹界のDX化を目の当たりにし、衝撃を受ける
・4人の子育てをしながらリーガルテックで起業する
・グローバル・ブレインから出資を受ける
16年前、NYの法曹界がデジタル化していることに衝撃を受ける
―― リセでは中小企業向けにAIが契約書をレビューするSaaS型サービス(インターネットを通じてソフトウエアの機能を提供するクラウドサービス)を提供していますが、なぜこの事業で起業しようと思ったのでしょうか。
藤田美樹さん(以下、藤田) 私は大学卒業後、24歳のときに司法試験に合格しました。法律を学ぶ中で日本企業の活躍に興味を持ち、企業法務に強い西村あさひ法律事務所へ入所しました。
私が入社したころは景気がよかったこともあり、残業も土日勤務も当たり前でした。早めに生活基盤を整えようと20代半ばに結婚し、27歳のときに第1子を出産しました。現在は双子を含む4人の子どもを育てています。
2018年に起業しましたが、もともと起業家願望があったわけではないんです。きっかけは、06年に事務所の研修制度を利用して、子どもと共に米国ニューヨークへ留学したことです。ニューヨークの法曹界では16年前からデジタル化が進み、オンラインで完結する業務が多くありました。日本では紙やファックスが主流だったため、自分たちは後れを取っていると感じました。