日経xwoman(クロスウーマン)と日本経済新聞社が実施した共同調査を基に、2021年版「共働き子育てしやすい街ランキング」をまとめました。その上位自治体の多くが、実は手厚い「移住支援制度」を用意しています。テレワークの普及で住む街を選び直すトレンドが起きるなか、これらを知らずに転居したら損!
新型コロナウイルス禍によって起きた社会の変化のうち、最もインパクトの強いものの一つが「テレワークの浸透」でしょう。共働きの子育て世代にとって、「都市部を住まいに選べば、保育所などの入園の倍率が高くなる」「保育所に入りやすい地域に住むと職選びの選択肢が狭まる」というジレンマが常に存在していました。しかし、テレワークが当たり前になっていけば、どこで働くかと関係なく、子育て環境として優れた街を選ぶこともできます。実際に東京ではコロナ禍以降、郊外などに転居する世帯が増えており、2021年11月まで7カ月間連続で人口は転出超過を記録しました。
日経xwomanが発表した「共働き子育てしやすい街ランキング2021」では、こうした「住む街を改めて選び直す」トレンドを反映。自治体の保育インフラだけでなく、共働き子育て世帯にとっての移住先としてどうなのかという視点も取り入れています。その視点から今回調査した項目の一つが、各自治体の「移住者支援策」です。

やはり転居は何かと物入りで、経済負担は少ないに越したことはありません。そしてこの人口減少社会では、子育て世帯は自治体から見て貴重な存在。何とか移住してきてもらうために、多くの自治体が移住者への補助金制度を設けています。今回の「共働き子育てしやすい街ランキング2021」で上位にランクインした自治体の中にも、手厚い移住支援制度を持つ自治体は少なからずあります。本記事では、ランキングベスト50に入った自治体が導入している移住支援制度について調査しました。
ランキングに入った自治体についてはこちらの記事をご覧ください。
■上位20自治体の紹介記事
共働き子育てしやすい街2021 総合編ベスト20
■21位~ベスト50に入った自治体の紹介記事
総合編ベスト50発表!共働き子育てしやすい街2021
移住支援策の傾向は? 自治体ごとに条件はまちまち
最初に、全体的な傾向を見ていきましょう。各自治体の移住支援制度は、主に下記のような仕組みが中心になっています。
・賃貸住宅に入居する場合、一定期間の家賃を補助するもの
・新規に住宅を取得する際に補助するもの
・住宅ローンを組んで家を買った場合に一定期間の支払利息を補助するもの
それぞれ自治体によって上限額が異なるほか、「夫婦ともに40歳未満」「子どもは未就学児まで」「所得は〇〇円以下」「所定の地域に住む場合」などの条件が設定されていて、条件を満たす世帯にしか利用できなかったり、条件を満たすかどうかで金額に差が付いたりします。
設定されることの多い条件の一つが「親世帯との近居・同居」です。もともとその地域に親世帯が暮らしている人を呼び戻したいといった狙いにより、親世帯と近居する場合のみ利用できる補助制度を導入する自治体は珍しくありません。また、住む場所についても、「空き家を取得して移住する場合」「山村地域に住む場合」などの条件を設けるケースがあります。こういった制度は、利用する側としてはやや制約が大きいといえるでしょう。
一方、注目できるのが、「東京圏からの移住者を優遇する」という条件がある制度。東京で保育インフラに悩む夫婦にとっては渡りに船となる可能性もあります。
次ページから、ランキングベスト50自治体のうち、あまり利用時の制約が大き過ぎず、補助額の大きい制度を導入している街をピックアップして紹介します。なお、内容は基本的に21年度(21年4月~22年3月の年度)の制度です。既に今年度分の予算枠が終了しているケースもあり、22年度に同様の制度が続くとは限らないので、利用を考える場合は該当自治体にお問い合わせください。