日経xwoman(クロスウーマン)と日本経済新聞社が実施した共同調査を基に、2021年版「共働き子育てしやすい街ランキング」をまとめました。この記事では、全国160自治体を評価し点数順にした総合編、21位からの自治体を発表します。

 新型コロナウイルス禍を機に、日本社会には大きな変化が起きました。必ずしもネガティブな変化ばかりではなく、ポジティブな変化として挙げられるものの一つが、リモートワークなどの「柔軟な働き方」の広がりでしょう。今、自分が勤めている職場の近くに住居を構える。この制約がもし取り払われていくとしたら、それは子育て世帯にとっても朗報といえます。「どこの街で子育てをするのがベストか」を、妥協することなく、改めて選び直すことができるからです。

 この状況を踏まえて今回の調査では、「共働きをする際に必須となる施設(インフラ)や補助(お金・サービス)」「保育の質を担保するための取り組み」という2つの観点を、さらに掘り下げて調べました。また、住む街を選び直す際に役立つ、移住者への支援策や、地元企業の女性・子育て世代活躍推進へのサポートについても調べました。

 重視したポイントは、まず「保育所や学童保育を希望する人がどれくらい入れるか(入りやすさ)」「保育所や学童の空間にどれだけ余裕があるか」といった、保育インフラの整備状況。次いで、保育所運営のガイドライン整備、保育士の確保や待遇改善など、保育の質を担保するためのソフト面の取り組みです。またコロナ禍以降、育児の孤独感が高まりやすい環境であることを踏まえ、保育施設以外で子育て世代にどんなサポートが用意されているかにも注目しました。

 主な評価ポイントは以下の16です。

<自治体ランキング 日経xwoman評価ポイント16>
1.認可保育所に入りたい人が入れているか
2.認可保育所の保育利用枠の今後の増設状況
3.認可保育所に不足がある自治体の場合、認可外保育施設などの受け皿がどのくらい用意されているか
4.病児保育施設の充実度
5.待機児童ゼロの達成状況
6.学童保育が施設・サービス共に充実しているか
7.保育所運営の質担保への取り組みがあるか
8.学童保育運営の質担保への取り組みがあるか
9.保育士確保のための取り組みがあるか
10.妊娠から始まる切れ目ない子育てへの支援やサービスが充実しているか
11.保育所や子育て世代への支援に、スマホアプリやICT(情報通信技術)システムなどを活用しているか
12.児童虐待に対応する支援体制が整備されているか
13.未就学児が増えているか
14.地域企業の女性活躍推進に取り組んでいるか、子育て世代が働きやすい環境をつくっているか
15.就学前教育や、公的な学習サポートを行う体制があるか
16.子育て世代の移住推進制度があるか

 ランキング集計時には、1から16までの評価ポイントをそれぞれ複数の観点からチェックしました。例えば「1.認可保育所に入りたい人が入れているか」なら、0歳児または1歳児がどのくらい認可保育所に入園できているか、保育所の利用枠(定員)の推移などを評価しています。43の評価項目については前回記事「共働き子育てしやすい街2021 総合編ベスト20」をご覧ください。

【調査について】
・調査名:「自治体の子育て支援制度に関する調査」
・調査対象:首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、中京圏(愛知・岐阜・三重)、関西圏(大阪・兵庫・京都)の主要市区と全国の政令指定都市、道府県庁所在地、人口20万人以上の都市、計180自治体
・回答数:160自治体
・回収率:88.9%
※以下の20自治体は調査に未回答でした。【未回答自治体/あきる野市、旭川市、和泉市、市川市、岡崎市、金沢市、鎌倉市、川西市、清瀬市、久喜市、熊谷市、熊本市、久留米市、佐世保市、草加市、西尾市、寝屋川市、枚方市、藤沢市、水戸市(50音順)】
※各自治体の回答や配点結果は記事中に掲載しているもののみ公開し、それ以外の内容については非公開とします