受賞者を迎えてトークセッションを開催

 続いて大賞以外の各賞が発表され、受賞者を迎えたトークセッションが開催された。トークセッション1「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022受賞者に聞く、独自のキャリアを生かしてビジネスで成果を出す秘訣」では

「理系の新・ロールモデル賞」
東洋合成工業 取締役 感光材事業部長 平澤聡美さん

「思いやり経営賞」
ドムドムフードサービス 代表取締役社長 藤崎 忍さん

「心の揺らぎサポート賞」
cotree/コーチェット 代表取締役 櫻本真理さん

※藤崎 忍さんの「崎」の本来の表記は、「大」部分が「立」の「たつさき」です

 の3人の受賞者と、審査員のエール取締役・篠田真貴子さん、LinkedIn(リンクトイン) 日本代表・村上臣さんが登壇し、ファシリテーターは日経WOMAN副編集長・樋口晶子が務めた。

トークセッション1「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022受賞者に聞く、独自のキャリアを生かしてビジネスで成果を出す秘訣」
トークセッション1「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022受賞者に聞く、独自のキャリアを生かしてビジネスで成果を出す秘訣」

 東洋合成工業取締役の平澤さんは夫の海外赴任に随行するため退職を余儀なくされた経験を「企業の中にいると自分のことが見えづらいが、外に出たことで自分に何ができるのか考えるきっかけになった。今でも年に一度は自分のキャリアを確認し、『何ができる自分になっているか』を積み重ねてここまで来られた」と振り返った。審査員の篠田さんが「チャンスをつかむための秘訣は?」と尋ねると、「チャンスは流れてくる船のようなもので、それほど多くないし、乗るかどうかは賭け。いつでも船に乗れるように自分を磨き、準備している」と応じた。

「理系の新・ロールモデル賞」 東洋合成工業 取締役 感光材事業部長 平澤聡美さん
「理系の新・ロールモデル賞」 東洋合成工業 取締役 感光材事業部長 平澤聡美さん

 ドムドムフードサービス社長の藤崎さんは専業主婦を経て、39歳で夫の病気を機に初就職。SHIBUYA109店内のアパレルショップ店長や居酒屋開業を経て現職という異例のキャリアを持つ。「未経験の分野に何度も飛び込んできたが、どんな人生でもチャンスをつかむことはできる。信頼関係を構築するうえで経験に勝る資産はない。環境や立場という枠にとらわれず、自信を持って羽ばたくことが重要」と、女性たちにエールを送った。審査員の村上さんが「数字にこだわらず、思いを大事にするのは新しいリーダー像」と話すと「会社の指針や思いをしっかり持つことで、スタッフの意志や目的も明確になる。思いがあれば成長や成功は後からついてきます」と力強く話した。

「思いやり経営賞」 ドムドムフードサービス 代表取締役社長 藤崎 忍さん
「思いやり経営賞」 ドムドムフードサービス 代表取締役社長 藤崎 忍さん

 睡眠障害などの経験からオンラインカウンセリングサービスを着想したのがcotree/コーチェットの櫻本さん。「人生を左右するほどの経験があっても、事業にしようと思う人は少ないのでは?」と篠田さんに問われると「事業を立ち上げるつもりはなく、アメリカで盛り上がっているこのサービスを知り、『日本にもあったらいいよね』と話すうちに協力者が増えて、ステップを踏んできた。3~4年目は会社がつぶれそうになるほど厳しかったが、ユーザーも仲間もいたから『力尽きるまでやろう』と思うことの繰り返し。メンタル不調が社会問題化し、コロナでオンラインコミュニケーションが一般化したことで花開いた」と振り返った。

「心の揺らぎサポート賞」 cotree/コーチェット 代表取締役 櫻本真理さん
「心の揺らぎサポート賞」 cotree/コーチェット 代表取締役 櫻本真理さん

 3人の話を聴き、村上さんは「ロールモデルを参考に課題をあぶり出し、議論しながらより高みを目指していきたい」と話し、篠田さんは「誰にでもライフイベントは起きるので、今日の話は『女性だから』ではなく誰にでも通ずる内容。中断が生きるようなキャリアパスが王道になるといい」とまとめた。

 トークセッション1の後、「世界に希望を紡ぐ科学者賞」を受賞した米エール大学医学部免疫学教授・岩崎明子さんのビデオメッセージが紹介された。新型コロナウイルスの脳への感染を明らかにし、正しい情報をいち早く世界のメディアで発信してきた岩崎さんは「キャリアを振り返ると大変なことやつらいこともあったが、家族や同僚、恩師の支えや励ましの言葉に支えられてここまでこられた。迷ったときも最終的には自分を信じるしかない。希望を持って波に立ち向かい、周囲の女性たちをサポートしながら皆で成功する環境をつくっていきましょう!」と画面を通して呼びかけた。