社会を動かす秘訣を探るトークセッション

 続いてのトークセッションは「社会を動かすチームをつくる、リーダーシップの極意」がテーマ。

「子育てダイバーシティ賞」
社会福祉法人 麦の子会 理事長・総合施設長 北川聡子さん

「途上国の自立支援に貢献賞」
Mpraeso(エンプレーソ)合同会社CEO 田口愛さん

「循環型社会へのイノベーター賞」
一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパン 代表理事 坂野晶さん

 の3人の受賞者と、審査員の早稲田大学ビジネススクール教授・入山章栄さんが登壇し、日経WOMAN副編集長・樋口がファシリテーターを務めて進行した。

トークセッション2「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022受賞者に聞く、社会を動かすチームをつくる、リーダーシップの極意」
トークセッション2「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022受賞者に聞く、社会を動かすチームをつくる、リーダーシップの極意」

 入山さんが「3人とも社会を変える活動をしているが、実行するのは大変なことで反対も多いのでは」と問いかけると、3人は大きくうなずいた。社会福祉法人麦の子会理事長の北川さんは「障がいのある子と家族を地域で支える仕組みをつくってきたが、『障がいのある子を育てることはステキなことだから、堂々としていていい』と励ますのは大切なこと。お母さんたちと海外を視察して、支援されることの大切さも実感できた。社会に認められている手ごたえを感じたのは公的補助が受けられた13年目のこと。起業から約40年経つが、これからは次世代につなぐ仕組みづくりにまい進していく」と感慨深げに話した。

「子育てダイバーシティ賞」 社会福祉法人 麦の子会 理事長・総合施設長 北川聡子さん
「子育てダイバーシティ賞」 社会福祉法人 麦の子会 理事長・総合施設長 北川聡子さん

 大学生起業家の田口さんは中学生のとき、カカオ農家の貧困や児童労働問題を知ったという。「でも19歳で現地に行ったら、陽気で踊るのが好きな生産者さんたちの姿を目の当たりにしました。金銭だけではなく精神的豊かさの大切さを知って以来、私自身も日々が彩り豊かに見えるようになりました」と話す。共に登壇した経験・実績豊富な受賞者たちに敬意を表しながら、「私はまだ夢の1%も達成できていないから20年、30年後を見据えて一歩ずつできることに取り組みたい」と抱負を語り、「今はSNSやクラウドファンディングなど一歩を踏み出す土壌が豊かなので、それらを活用して一緒に明るい未来をつくりましょう」とZ世代にメッセージを送った。

「途上国の自立支援に貢献賞」 Mpraeso(エンプレーソ)合同会社CEO 田口愛さん
「途上国の自立支援に貢献賞」 Mpraeso(エンプレーソ)合同会社CEO 田口愛さん

 海外大学院への進学を取りやめ、徳島県上勝町に移住して「ごみゼロ」の取り組みを引き継いだのが坂野さん。海外と地方を天秤(てんびん)にかけての英断を不思議に感じていた入山さんも「環境問題の政策分野で仕事をしたいと思っていたので、机上の理論ではなくトライ&エラーで政策をつくる経験ができると考えて飛び込んだ」という坂野さんの答えに納得した様子。行政などを相手にする苦労を聞かれると、物事がうまく動かないときの対処法として「相手に対して厳しいことを伝えるとき、あえてめちゃくちゃ笑いながら言うこともある。発信の仕方を変え、楽しく見せることで相手の受け止め方が変わります」と秘訣を明かした。

「循環型社会へのイノベーター賞」 一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパン 代表理事 坂野晶さん
「循環型社会へのイノベーター賞」 一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパン 代表理事 坂野晶さん

 入山さんは大きな社会課題に取り組む3人の共通点を「今日のお召し物も(笑)、考え方も雰囲気も底抜けに明るい!」と評する。「社会を変えようとすると反対も多いが、『どうにかなるさ』という楽天的な部分や切り替えの早さが成功につながっている」とまとめた。