大賞受賞者が考える「対話の力」とは
最後に大賞が発表され、双子の姉妹であるcoly(コリー)代表取締役社長・中島瑞木さんと代表取締役副社長・中島杏奈さんの名前が読み上げられた。表彰に続いて、大賞の2人を囲んで「『思い』を育んで事業を大きく成長させる対話の力」と題してトークセッションが開かれた。審査員のMPower Partnersゼネラル・パートナーの村上由美子さんも登壇し、日経WOMAN編集長・藤川明日香がファシリテーターを務めた。
colyは「コンテンツを通して女性たちに明日を生きる勇気を与えたい」という思いから、「もっと、面白く」という理念のもと、女性向けモバイルオンラインゲーム開発を手がける会社。審査員の村上さんから「女性のロールモデルがほとんどいないゲーム業界で、何を目標にしてきたか」と聞かれると、瑞木社長は「根本は120点のものを作ることで、明日は今日よりもっと面白いものを作りたいと思っている。ただ、ロールモデルがいたら別の成長の仕方もあったかもしれないので、ほかの方の壁打ち相手になるべくMOインベストメント(起業家支援)という取り組みを始めた」と答えた。双子の姉妹で起業し、絶えず意見をぶつけ合ってきた2人だからこそ、「対話を深めること」の大切さを実感し、それが起業家支援の発想にもつながっているという。

村上さんが「たまごっちの大ヒットから分かるように、日本は感情×テクノロジーの分野が得意で最先端のビジネスが生まれる可能性もある」と水を向けると、杏奈副社長は「今後は日常動作など全ての分野にエンターテインメントが関わってくる可能性がある。ユーザーの心の中にあるものが正解だと考え、心の活動を邪魔しない範囲で、皆さんを応援できるゲームやIP(知的財産)開発をしていきたい」と今後の抱負を語った。

村上さんは「エンタメを通して人を幸せにするというコンセプトは、今経営で重視されているESG(*)のど真ん中。2人とも30代前半で先が長いので、これから何を手がけていくのか大いに期待しています」とエールを送り、トークセッションをまとめた。
*サステナブル(持続可能)な世界実現のために、企業の長期的成長に重要な環境(E)・社会(S)・企業統治(G)の3つの観点

取材・文/加納美紀 写真/辺見真也