「Notion(ノーション)」の日本語β版が2021年10月に提供開始となりました。Notionは、複数のアプリやWebサービスで管理されていた情報を一つにまとめることができるオールインワンの情報共有サービスです。その便利さから、スタートアップ企業だけでなく、大手企業でも導入が進んでいます。NTTコミュニケーションズ(NTTコム)では、新たに立ち上げたデザイン組織「KOEL(コエル)Design Studio by NTT Communications」を中心に、2020年から導入。そのきっかけや活用ポイントについて、詳しく教えてもらいました。

新しい組織が立ち上がったものの、情報共有がうまくできていなかった

 NTTコムでは2020年に大きな組織再編を実施し、新規事業開発を担う組織「イノベーションセンター」を設けました。さらに、「イノベーションには、BTC(ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ)が欠かせない」という考えから、同年4月にデザインの専門組織「KOEL(コエル)Design Studio by NTT Communication」も立ち上げました。同組織にはUXデザイナーを中心に、約30人が所属しています。

 KOEL発足時は、中途採用や他部署から異動してきたメンバーが多いこともあり、情報が整理されていませんでした。プロジェクト管理に課題を抱える中、チームをけん引するUXデザイナーの武田透摩さんが興味を持ったのがNotionでした。

クライアント企業にあわせて管理ツールを使い分けていたため、情報のハブ(中核)となる場所がなかった(写真はイメージ)
クライアント企業にあわせて管理ツールを使い分けていたため、情報のハブ(中核)となる場所がなかった(写真はイメージ)

 「2018年ごろから、日常の出来事をメモしたり仕事の予定を書いたりするなど、個人的に使用していました。Notionはアプリでもブラウザでも反映されるまでにラグ(時間差)がないため、慣れたらサクサク書くことができる点で気に入っています。また、Notionが用意した絵文字や画像などを設定できるので、『どういう情報をまとめているのか』が見やすいんです。

 さらに、インポート機能を利用すれば、ほかのアプリやWebサービスで使っているデータを移行できるので、散らばっている情報を一元管理することができます。Notionなら、KOELが抱えているプロジェクト管理に関する課題を解決できるのではと思いました」(武田さん)

 NTTコムの従業員数は、グループ全体で約1万8000人。一般的に、これほど大きい組織の一部署で新しいサービスを導入するのは、ハードルが高いと思われがちです。しかし、働き方改革や新型コロナウイルス禍におけるテレワークの普及などが、Notion導入の追い風になったといいます。

 「コロナ禍で社内の働き方改革が推し進められ、現在も従業員の約8割がリモートワークを継続しています。そのため、Notionのように作業効率化が期待できるサービスの導入にも前向きでした。申請後、社内の審査を経て、2020年4月からKOELで正式に導入することができました」(武田さん)