12年連続でジェンダーギャップ指数世界1位となっているアイスランド。北欧ジャーナリストの鐙麻樹さんは2021年9月に行われた同国の国政選挙の取材中、女性政治家たちの言葉が印象に残ったといいます。その言葉から、アイスランドが世界一のジェンダー平等国たる理由を考えます。
国政選挙中に出会ったアイスランドの女性たち
世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数ランキング。2021年の時点で、北欧アイスランドはなんと12年連続で1位という記録を更新している。日本は120位だ。
2021年9月のアイスランド国政選挙中、私は取材を通じてたくさんのアイスランド人の女性に出会った。出会った誰もがエネルギーにあふれていて、英語のスキルも高く、元気に働きながら毎日を楽しんでいた。
先進的な政治システムという意味で使われる「北欧モデル」という言葉は世界的に有名な言葉だ。この土壌には「民主主義という言葉を大切」にし、「政治に積極的に参加し続けてきた市民」があると感じている。
2021年9月のアイスランド国政選挙の投票率は80.1%だった。コロナ禍で北欧各国の投票率は下がる傾向にあるが、その中で80%を下回らなかったのは上出来だろう。
日本では「アイスランドには女性首相がいて、ジェンダーギャップ指数が1位で、投票率が高い」ことが話題にあがる。一方で、現地では自画自賛する空気はあまり感じない。なぜなら、もはや女性活躍は当たり前だから。現地では、昔と比較して投票率が低くなっていることばかりが心配されている。

「北欧モデル」や「ジェンダー平等」が紹介されるとき、政策の歴史が紹介されることが多い。取材される北欧諸国の人々も「政策を変えたから、今がある」と答えるのが定番だ。しかし、そうはいっても最初は北欧各国の政策変化の羅列など、私にはピンとこなかった。だが、取材を続けて13年目になる今になって思う。「まずは女性議員を増やして」「政策を変えていく」ことは、ジェンダー平等の鍵なのだと。
そこで、今回は選挙取材中に出会った女性議員や市民の言葉を紹介したい。