大人になり、学び直しの機会がほしいと思っている人も多いのではないでしょうか。北欧ジャーナリストの鐙麻樹(あぶみ・あさき)さんは今夏、オスロ大学のサマースクールでジェンダー学について学びました。ジェンダー平等の先進国・ノルウェーで学べる内容とはどのようなものなのか、なぜ学ぶのかをお届けします。
コロナ下でサマースクールの学費が無料に
今夏、私はオスロ大学のサマースクールで「北欧のジェンダー平等」を学んだ。6月からスタートし、Zoomで毎日2時間、2カ月間のグループ授業。大量の文献を読み込む毎日だった。
私はかつてオスロ大学と大学院に正規学生として通っており、主専攻はメディア学、副専攻はジェンダー平等だった。そのため今回のサマースクールは大学院レベルのものを選んだ。
サマースクールは通常は有料で、最低30万円以上はかかる。ノルウェーで「学費は無料」に慣れていた私には、サマースクールの信じられないほど高額な授業料は非現実的で、自分には関係ないと思っていた。だが、なんと今夏は、コロナ下で完全オンラインの授業となるため「無料」だということを知った。
「これは見逃すわけにはいかない!」と、勉強好きな私は早速応募。試験などはなく、日本・ノルウェー・これまでの留学先(オーストラリアやフランス)の成績やオスロ大学の教授からの推薦状を提出するのみだった。無事に審査に合格し、ノルウェー在住14年目にして、私は初めてのサマースクールを体験したのだ。
ところが、序盤から出遅れ、休日にも5時間以上、黙々と読書をすることになった。
というのも、オスロ大学では大量の文献を読まなければいけないからだ。それはサマースクールでも変わらない。正規生だったときも何とかオスロ大学を卒業し、オスロ大学院を修了したが、久しぶりに文献を読み込む勉強をした。アカデミックな専門用語の数々で構成される文献は、ニュース記事や通常の本とは全く違う。とにかく読みにくい難解な表現が続くので、1ページ読むのに30分かかることもある。仕事やほかの勉強もあるので両立が大変だった。
