北欧ジャーナリストの鐙麻樹(あぶみ・あさき)さんは「大人になってからの学び」を継続中です。ノルウェーのオスロ大学大学院のサマースクールでは「北欧のジェンダー平等」を学び、米国のテキサス大学では「メンタルヘルスとジャーナリズム」、さらにアイスランド語、フィンランド語も学んでいます。「北欧のジェンダー平等の鍵は女性のボランティア活動に」「北欧オンライン留学 学生のメリットと脱落しないコツ」に引き続き、今回はオンライン留学で必要となる「アカデミック英語」の習得方法、グループワークの乗り切り方について紹介します。
オンライン授業よりも大変なのは…
Zoomによるオンライン授業よりも大変なのが、家で黙々と論文を読む自習時間だ。
研究者による論文というのは難解な書き方がされていることが多い。「このまま日本語に翻訳して掲載しても、閲覧数はすごく低そう」「もっと分かりやすく説明できないのかい!」と何度も突っ込みたくなった。執筆者によってスラスラと読めたり、1ページ進めるのに30分かかったりすることもある。
だが、私は「英語の勉強」をしたいのではない。「英語で」「北欧のジェンダー平等を学ぶ」ことが目標なのだ。だから、英語につまずいている余裕はない。分からない単語はネット辞書でパパッと調べた。特に論文1ページ目の概要に分からない単語が多い場合、最初に意味を調べておく必要がある。なぜなら本文でもその単語が何度も出てくる可能性があるからだ。最低限、概要にある単語の意味だけを分かっていれば、何とか読み進められる。それでも「さっぱり分からない」論文は放置した。学びを継続するには完璧主義者にならないことも大事だ。
「どうしても気になるが、分からない」内容は授業中、先生にどんどん質問した。誰かと実際にやり取りすると記憶に残りやすいし、毎回新しいことを学んだという実感も深まる。
論文で大事だと思うポイントにはマーカーを引いたり、日本語で簡単にメモしたりしていた。最近は教材がデジタル化されているが、私は「気づきをメモしたい派」なので、印刷する。印刷しておくとエッセー試験のときに、必要な引用箇所も探しやすい。
ただ、実は「そもそも論文を読まない学生」も多い。そういう人はエッセー試験で指定論文を活用せずに、外部の書籍やネットから情報を持ってくるのだが、それでは良い成績は取れない。どれだけ素晴らしい内容でも先生は不満だ。なぜなら大学が見るのは「指定論文を読んで理解しているか」だから。
論文を読む余裕がない学生ほど、指定論文を引用しながら「北欧のジェンダー平等」を語るのではなく、外部資料を参考にしながら「自分のお国事情」を書くこともある。忙しい学生がついやってしまいがちなことだが、評価されない典型例だ。