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女性管理職育成・交渉コンサルタント 小早川優子「自信がない人ほど、いいリーダーになれる!」

男性管理職だって自信がない 今の管理職はどうすれば?

男性管理職Aさん相談編(上)小早川優子/自信のなさの理由の一つは「勉強不足」

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社会が変化しているとき、リーダーシップの在り方が変わるのは経営学の基本

小早川優子さん(以下、小早川さん) 単刀直入に言うと、今、マネジャーとしてのロールモデルがいないというのは、日本の社会人全体の勉強不足に起因していると思います。最適なリーダーシップの取り方は、環境によって変わります。特に今日のように、社会に大きな変化が起きているときには求められるリーダーシップも大きく変化します。これは経営学では基礎的な話ですが、日本の職場には浸透していないのが現状です。

 欧米の大企業と比較すると、日本では社内の管理職研修の予算が非常に少なく、個人が(社会人が必要な知識を学び直す)リカレント教育やスキルアップ、自己啓発に掛ける金額もOECDの中で最下位レベルです(*)。経営者も社員も、勉強する機会がなかなか得られないのでしょう。いまだに過去の成功体験から抜け出すことができず、危機感も足りず、リカレント教育を行っていない。それゆえに、人材教育に対しても合理的な判断ができない、という結果になっていると思います。

 余談になりますが、太平洋戦争下の日本軍を分析した米国による評価に、「兵は優秀、下士官良好、将校凡庸、指揮官愚劣」という言葉があります。軍隊組織をそのまま現在の日本の組織に当てはめるのは乱暴な話ではありますが、日本軍の組織論的研究である『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』(中公文庫)を読めば、現在の日本社会が抱える課題と重ね合わせる人も多くいるのではないでしょうか。

 過去の成功体験に縛られているからなのか、管理職の人たちが新しいビジネスの理論や方法論に関して研修を受ける機会を与えられず、「職場で学べ」「経験から学べ」「気合で学べ」といった部活動的な流れでやってきたことが一番大きな理由なのではないかと思っています。

 「若手社員がすぐに人事部に話をしにいってしまう」というのは、若手が社内の少数派であるために、「自分で自分を守らなくてはいけない」という自己防衛の気持ちを強く持っているからでしょう。本にも書きましたが、若手社員が上司との面談中、発言を録音しているというケースもあります。基本的に少数派は、既存の社会、社内の人に対する信頼度が低いのです。

 日本の教育における事情も関係しています。学校の授業では、他の生徒とディスカッションをする経験が少なく、「他の人が自分とは異なる意見を持っている」という感覚が弱い傾向があります。日本の学校教育では、勉強では「正解を導く」というスタンスが強く、「みんなが同じ正解を求めるのは当たり前」という意識が潜在的にあるのでしょう。「みんなが同じ常識を持っている」と考えていたほうがラクだということもあり、そうした意識がどんどん強まってしまうのです。

*「高等教育の将来構想に関する参考資料」文部科学省(2018年2月)参照

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