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女性管理職育成・交渉コンサルタント 小早川優子「自信がない人ほど、いいリーダーになれる!」

「指導しとけ」と言われ「はい」しか言えない中間管理職

男性管理職Aさん相談編(中)小早川優子/管理職にこそ、自発的に学ぶ姿勢が大事

Terraceで話題!

書籍『なぜ自信がない人ほど、いいリーダーになれるのか』(小早川優子著、日経BP)で取り扱ったテーマを、さらに深掘りする連載です。書籍の感想をメールで送ってくれた、あるメーカーの男性管理職Aさんと小早川さんの対話を、3回に分けて紹介します。今回は中編です。

(上)男性管理職だって自信がない 今の管理職はどうすれば?
(中)「指導しとけ」と言われ「はい」しか言えない中間管理職 ←今回はココ
(下)研修を充実させると会社へのエンゲージメントが高まる

社内研修は、若い次世代リーダー層をターゲットに行うのがコスパよし

Aさん 弊社の人事は「管理職が新しいロールモデルを知るためには研修が必要だ」という認識を持ち、管理職研修を強化しようとしています。これまでの小早川さんのお話(前回記事「男性管理職だって自信がない 今の管理職はどうすれば?」)を聞いても、実地から学ぶというのは限界が来ていると思うのですが、OJT(職場内訓練)を美徳として「実地から学ぶ」という方法を長く採ってきた会社が研修を取り入れることには、高い効果が見込めるのでしょうか。

 特に社内研修の効果が出やすい層があるとすればどの層なのでしょうか。今、まさに部長などを担っている人たちへの研修を強化したほうがいいのか、それとも、その代はもう手遅れと諦めて、次世代リーダー層への研修を手厚くしたほうがいいのでしょうか。

小早川さん コストパフォーマンスを考えれば、若い次世代リーダー層への研修に費用を充てるのがいいと思います。同時に、若い層が社内で新しい挑戦を始めたときに、上の世代がそれを潰さないという土壌をつくらなければいけません。日本の場合は年功序列があり、それが非常に難しいところだと思います。

Aさん 年功序列の壁を崩す方法はあるのでしょうか。

小早川さん 私の結論だと、現時点では年功序列の壁を崩すことは非常に難しいです。近年、いくつかの日本企業が取り入れているジョブ型人事制度も1990年代にブームとなって導入された成果主義や能力型人事制度と同じように、あまりうまくいかないだろうと予測しています。ダイバーシティも、DX(デジタルトランスフォーメーション)も、今後数年間、それほどうまくいかないのではないでしょうか。

日本の職場では、いつからか禁煙文化が浸透した

日経xwoman編集部(以下、――) 何か打つ手はないのでしょうか。

小早川さん 私は企業変革は「禁煙文化」の浸透と同じように時間をかけて行うのがよいと考えています。どこかの会社が一社だけでお金をかけて取り組みを始めたからといって、すぐに効果が見えるというものではなく、社会全体が少しずつ少しずつ変わっていく、という方向でしか日本は変わらないと思います。

 約30年前、日本の職場には、たばこの煙が充満していましたよね。今ではほぼあり得ないことです。あのときは、どこかの会社が禁煙を始めたからというのではなく、米国で禁煙の動きがあり、飛行機が禁煙となったことなどをきっかけに、徐々に日本全体で喫煙者のイメージが変わり、何となくそういう雰囲気になっていったという流れがありました。増税により、たばこの価格が上がったのも大きな要因ですが、それ以外にもいろいろと仕掛けをしている人たちがいたわけです。

 あのときと同じように、知らない間に仕掛けられているということが、日本全体で起きてくるのが一番いいのではと思います。リカレント教育(学び直し)とイノベーションの間には相関関係があるため、政府主導でリカレント教育拡大への誘導が進められていますから、新しい助成金などを活用して、今、それぞれの企業ができる範囲で研修などを進めていったほうが、変化のスピードを速められると思います。

Aさん 劇的な特効薬はない、ということですね。

小早川さん 行政は女性の育休制度の充実はもちろん、今は男性育休制度を推進しています。働き方改革に関しても、さまざまな試みを行っています。企業や人事部はその動きを後押しするとか、うまく利用して波に乗り、今年はそのテーマにおける予算を多めに取るとか、そういうことをみんなが少しずつやっていくしかないのではないでしょうか。

 冒頭(前回記事「男性管理職だって自信がない 今の管理職はどうすれば?」)の話に戻りますが、日本の職場では経営学が重視されておらず、仕事においても合理性を追求する企業は、特にサービス業では決して多くありません。しかし、今の20代、30代の人たちには、学ぼうとする人が増えています。リカレント教育に対する意欲も若い人ほど高いです(*)。若手にも人気がある2ちゃんねる開設者「ひろゆき」こと西村博之さんは「それはあなたの主観ですよね。エビデンス(根拠)はありますか」というフレーズをよく口にします。10~20年前は、このようなセリフはあまり出て来なかったと思うんです。今の20代後半はエビデンスや論文を引っ張って物事を語ることも増えていると思います。

 社会が多様化しているからこそ、共通言語として、科学的なエビデンスやデータが持つ客観性が説得力を持つ、ということだと思います。ツイッターを見ていてもそう思います。物事をより科学的に考えるというのは、上の世代よりも強まっているはずです。

*総務省「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究 報告書」(2018年)

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