毎日の歯みがきの最後に、誰もが行っている「うがい」。やり方をちょっと工夫するだけで、口の中の汚れをしっかり落とすだけでなく、口まわりのトレーニングにも役立ちます。
 今回は歯科医で歯学博士の照山裕子さんが考案した「高速ぶくぶくうがい」を紹介します。少量の水で高速で勢いよく行ううがいで、口の中をキレイに保ちやすくなるだけでなく、口まわりの老化予防効果も期待できます。実践方法を詳しく解説しましょう。

 歯科医で歯学博士の照山裕子さんは、口腔がんの術後や、外傷などで口腔機能が低下した患者さんの治療やリハビリを大学病院で担当している。そこで重要性を感じたのが「うがい」だ。

 「機能が衰え、ゆすぐ力が弱いと汚れはたまりやすくなります。口まわりの動きと衛生状態は密接だと実感し、もっとうがいに関心を持ってもらえるように『高速ぶくぶくうがい』というメソッドを考案しました」。「毒出しうがい」として書籍化している方法だ。

 これは、少量の水を含み、高速で勢いよく行ううがいだ。習慣化すれば、口の中をキレイに保ちやすくなるだけでなく、口まわりの老化予防にも効果が期待できるという。

ほうれい線が薄くなった人も!「10回ぶくぶく」が目安
高速ぶくぶくうがい

素早く行ううがいだから、口の中に強い水流が作られ、口の中の汚れが取れやすい。口をしっかり動かすため、口輪筋や舌筋などの口まわりのトレーニングにも。

まずはここから
<span class="fontSizeL">まずはここから</span>
含んだ水は舌の上にのせて口を閉じる。上下の前歯に水をぶつけるように、口をぶくぶくと10回できるだけ速く強く動かして、水を吐き出す。

行うといいタイミングは…

いつでもどこでも、飲食のたびに行ってOK。水を含まないで行う『エアうがい』もトレーニングになる。

オーラルケアをサポート、虫歯予防にも役立つ

 高速ぶくぶくうがいの効果は、大きく分けて2つだ。

 「1つは口の中に残った汚れを、このうがいによる強い水圧で落とすことです」

 口の中に食べかすがあると細菌が繁殖し、歯周病や虫歯の原因であるバイオフィルム(歯垢や歯石)が作られる。一度形成されたバイオフィルムは歯ブラシなどを使って機械的にこそげ落とす必要があるが、食べかすを残さないことでリスクを減らそうという狙いだ。

 また、間食時に糖質を含む甘い飲食物をとると口の中が一時的に酸性に傾き、虫歯リスクが高まる。「すぐに歯ブラシができないときでも、うがいで口の中が中和されるメリットは知っておいて損はありません」

 もう1つは、素早いうがいの動作で口まわりの筋肉が強化されること。

 「ぶくぶくの動きは口まわりの筋肉が疲れるぐらいが効果的。筋トレ効果で、ほうれい線やフェイスラインのたるみが改善したという声も多いです」

 高齢者にとってもうがいは重要。「歯ブラシで汚れを取っても、ゆすげなければ口内にとどまってしまいます。こうした汚れは誤嚥性肺炎を引き起こす要因になるので注意が必要です」