これまで歯のケアについてじっくり解説してきたこの連載に大幅加筆し、書籍『“食べる力”を落とさない! 新しい「歯」のトリセツ』ができました。今回は、この書籍を一部抜粋し、人生100年時代の歯を保つ方法をご紹介します。
>前編:歯や口の不調が老化につながる まず口の中を見る習慣を
歯の治療をしなければならなくなった場合、どのようなことを重視して、治療法を選ぶべきなのだろうか。
まずは虫歯。大人で起こりやすいのは、歯の根元にできる根元虫歯(根面う蝕〔しょく〕)、一度治療した虫歯の再発(二次う蝕)だ。通常、虫歯に侵されている部分を削り取って、範囲が小さい場合は詰め物(レジン充填やインレー)をし、神経をとるほどになった場合は、かぶせ物(クラウン)を用いる。
詰め物 や かぶせ物 の種類



「インレーやクラウンの素材は、メタルフリーが一般的になってきました。ただその際、患者さんが悩まれることの一つに保険診療と自由診療のとらえ方があります。歯科における保険診療のコンセプトは、あくまで『病気によって損なわれた機能を回復すること』で、使用できる材料や薬剤が厳密に定められています。たとえば、保険診療で使う銀歯は、強い力や温度変化によって変形するため、これで一度虫歯の治療をしても、詰め物やかぶせ物の隙間から、虫歯の再発を招くことが多いのです」と照山さん。
さらに年齢を重ねるとともに、手が不自由になり、家事や身のまわりのことなど、毎日難なくこなしていた動作もおっくうになる。「歯の手入れもその1つ。そのため、将来を考え、銀歯ではなく、セラミックやジルコニアなど、手入れしやすい素材を選んでおくことをお薦めします。歯を健康な状態で長く維持するための工夫を凝らした治療が、歯科における自由診療のコンセプト。費用の面が心配になる方もいらっしゃいますが、無理のない範囲で検討してもらうのがいいと思います」。

どうしても、保険診療内で済ませたいという場合は、「そのぶん、こまめに検診に通ったり、ご自身でもしっかりケアを行うようにお伝えしています」。