「口が渇きやすくなった」「軟らかい食べ物ばかり食べてしまう」……これは口の老化の兆し? 年をとってからも食べることを存分に楽しむためには、歯のケアだけでは不十分のようです。では、どうすればいいのでしょうか。
歯科医で歯学博士の照山裕子さんに、口全体の老化「オーラルフレイル」について2回に分けて聞いていきます。今回はオーラルフレイルのチェック方法と、年齢とともに機能が落ちる理由について解説してもらいました。

マスク生活が当たり前となり、口もとが無防備で、口まわりが老けたような気がする……と思う人もいるのでは。
口の老化といえば、これまで「歯」に重きが置かれていた。しかし、「多くの方の口の中を診ていると、歯は個人差が大きいと実感します。60歳でもケアが行き届き、驚くほどしっかりした歯の方もいますし、若くても歯が弱っているケースもあります。一方で、噛む力、舌の力である舌圧、唾液量など、歯以外の口のまわりの機能は、加齢とともに誰もが徐々に落ちていきます」と歯科医で歯学博士の照山裕子さん。そのため、「歯のケア以外に、口まわりのケアを覚えておくことが必要です」
舌圧は70代で明らかに低下

20~79歳の853人の男女を対象に舌圧を測定。70代になると、それまでの年代に比べて明らかに舌圧が低下していた。(データ:Dysphagia.2008 Sep;23(3):286-90)
今回と次回の2回にわたって、誰の口にも起こる「老化」と、それを防ぐ方法について、詳しく聞いていこう。