毎日使う歯磨剤(歯みがき粉)はどうやって選んでいますか? パッケージの文言から選べばまず問題ありませんが、より自分の口や歯に合った選び方や使い方は…? 歯科医・歯学博士の照山裕子さんに歯磨剤の成分の特徴と、照山さんが薦める使用時のポイントを2回にわたって教えていただきます。今回はホワイトニングの仕組みや効果についても解説します。

(写真はイメージ=PIXTA)
(写真はイメージ=PIXTA)

 毎日行う歯みがき。第4回から第6回では「歯ブラシやフロス」について解説したが、今回と次回は歯ブラシの“相棒”でもある「歯磨剤(しまざい)」について、歯科医で歯学博士の照山裕子さんに教わろう。

 「第2回の虫歯派?歯周病派?でも解説したように、人それぞれの歯、そして口の中の特徴があります。虫歯もしくは歯周病になりやすい、着色しやすい、また歯ならびが悪い部分に汚れがたまりやすいなど、コンディションに合った歯のケアが必要です。歯磨剤についてもどこの部分を重点的にケアしたいかを考えると、選びやすくなるでしょう」と照山さんは語る。

 まずは歯の各部分についておさらいしながら見ていこう。

歯のどこに効かせる? 部位ごとの歯磨剤(しまざい)選びのポイント
歯のどこに効かせる? 部位ごとの歯磨剤(しまざい)選びのポイント
歯磨剤は、主にこの3つの部位に着目して選ぶといい。

硬い組織でできている歯 弱点は「酸」

 歯の最も外側の「エナメル質」。これはほとんどがハイドロキシアパタイトというリン酸カルシウムの結晶でできている。人体の中でも一番硬い組織だ。

 「そんなに硬いにもかかわらず、『酸』に弱いという弱点があります。食事のたびに、口の中が酸性に傾くと、エナメル質の表面からごくわずかにリンやカルシウムが溶けだします。これが『脱灰(だっかい)』。ですが、唾液などには酸を中和する力があり、それによってリンやカルシウムが沈着し、戻ります。これが『再石灰化(さいせっかいか)』。虫歯菌は、糖をエサにして酸を作り、脱灰させることでエナメル質に穴をあけてしまいます。これが虫歯(う蝕[しょく])の正体です」

 そこで、虫歯対策には、エナメル質の強化や、再石灰化を促す成分が入ったような歯磨剤がいいとされる。

 また、エナメル質表面の性状は、個人差があり、凹凸度合いもさまざま。そのため、コーヒーなどの色素が沈着することも。着色対策になる歯磨剤もある。