日々の歯みがきで使っている歯磨剤(歯みがき粉)。店頭には様々な商品が並んでおり、どれを選べばいいか迷った経験は誰もがあるでしょう。できれば自分の歯の状態や目的に合った商品を選びたいもの。そこで歯科医・歯学博士の照山裕子さんに歯磨剤の成分の特徴と、照山さんが薦める使用時のポイントを2回にわたって教えていただきます。前編に続き、後編となる今回は、目的別の歯磨剤の選び方を具体的に解説していただきました。

歯ブラシの“相棒”でもある「歯磨剤(歯みがき粉)」。より自分の口や歯に合った商品を選ぶには?(写真はイメージ=PIXTA)
歯ブラシの“相棒”でもある「歯磨剤(歯みがき粉)」。より自分の口や歯に合った商品を選ぶには?(写真はイメージ=PIXTA)

 今回は「目的別」の歯磨剤(しまざい)の選び方を、歯科医・歯学博士の照山裕子さんに解説していただく。今回紹介する目的は、「虫歯・着色対策」「歯周病対策」「知覚過敏対策」の3つ。順に見ていこう。

虫歯・着色対策に「エナメル質ケア」

 虫歯予防が目的のエナメル質ケアなら、歯磨剤は、歯の再石灰化や歯質強化を促す成分「フッ化物」が配合されたものを。同じ虫歯でも加齢によって歯ぐきが退縮することで、歯の根元の軟らかい部分が虫歯になる「根面う蝕」にも注意したい。

 「根面う蝕対策では、フッ化物が高濃度の1450ppm配合された歯磨剤を使用します」(照山さん)

 フッ化物配合の歯磨剤の場合、フッ化物を口の中にとどめるために、歯みがき後のうがいはしっかり1回に。「汚れが吐き出せていない口に、フッ化物を使っても効果があるか心配な人もいるのでは。より効果的にフッ化物を残すなら『ダブルブラッシング法』がお薦めです」。まず、1回目の歯みがきでは、歯磨剤なしか、好みの歯磨剤で通常のみがき方で行う。そして、みがいた後にしっかり何回かうがいする。2回目の歯みがきでは、フッ化物配合の歯磨剤を歯ブラシで歯全体にのばすように広げてみがき、今度は少量の水で1回うがいをする方法だ。

虫歯対策にはフッ化物配合を 高濃度タイプも続々と

主な歯磨剤の成分
● フッ化物

歯の再石灰化を促進し、歯質を強化するフッ化物は、ほとんどの歯磨剤に配合されているが、近年フッ化物が1450ppm配合されたものが増えている。虫歯予防効果は高いが、6歳未満の子どもは使用不可なので注意。

歯みがき後のうがいは1回
歯みがき後のうがいは1回
フッ化物を効かせるためには、口内にとどめたい。そこで、歯みがき後は、少量の水でしっかり1回ゆすぐのがポイントとされている。
フッ化物が配合された歯磨剤は年齢に応じて使用量の目安が設定されている。6カ月〜2歳は仕上げみがきをする際の量。いずれも就寝前にみがくのが効果的。(出典:『フッ化物局所応用実施マニュアル』をもとに図示)
フッ化物が配合された歯磨剤は年齢に応じて使用量の目安が設定されている。6カ月〜2歳は仕上げみがきをする際の量。いずれも就寝前にみがくのが効果的。(出典:『フッ化物局所応用実施マニュアル』をもとに図示)

キシリトールガムを噛めば虫歯リスクは減らせる?

「キシリトールは、虫歯菌のエサになっても酸がほとんどできないため、虫歯のリスクは減らせます。噛めば、唾液の分泌も促されるため、ドライマウス傾向の人にはメリットはありますが、過度な期待は禁物です。噛んだからといって歯みがきをおろそかにしていいわけではないと覚えておいてください」(照山さん)。