悪い姿勢によって起こる凝りや痛みの背景には「ファッシア」の劣化が関わります。つながり合う“ライン”に沿ってストレッチすることで、全身が楽になり、固まっていた姿勢が心地よく伸びます。「壁」を使うことで全身のすみずみまで効かせることができるストレッチを紹介します!今回はフロント&バックラインを整えるストレッチです。
整形外科医直伝! 首、肩、腰の凝り、股関節痛をリセットする「壁ストレッチ」
・「壁」があればコリを一気にほぐせる カギはファッシア【1】←今回はココ
・姿勢が整い呼吸もラクに ファッシアを左右斜めに伸ばす【2】
・運動によってコリや痛みを和らげるために大切なこととは【3】
凝りや痛みに深く関わる「ファッシア」って、なに!?
ファッシア(Fascia)とは、全身にあり、内臓や筋肉を包む網目状の結合組織のこと。「筋肉を包む筋膜、マイオファッシア(Myofascia)もその一部。筋膜はぱつんとしているが、ファッシアは網目状で綿菓子のような質感をしている」と整形外科医で、北里大学大学院教授の高平尚伸さんは解説する。
近年の研究で、骨や靱帯などに異常がなくても凝りや痛みを訴える人の患部を超音波診断装置(エコー)で見ると、ファッシアが癒着したり引きつれたりしていることが判明。「ファッシアには感覚受容器があるので、負担がかかった部分に痛みや凝りが起こる」(高平さん)。
a ファッシアのすべりが悪くなると、悪い姿勢などによって変性すると脱水し固くなり、弾力性を失う。癒着が起こることも。
b ファッシアのすべりが良いと、ファッシアは本来、適度の水分を含み柔らかく伸縮し、皮膚と筋肉の間をすべるように動く。
では、ファッシアを整えて、凝りや痛みを改善するにはどうすればいいのか。高平さんがお薦めするストレッチがある。体の重だるさが吹き飛ぶような爽快感を実感できるストレッチを、次ページから紹介しよう。