何となく腰が重だるいという人からぎっくり腰を繰り返す人まで、座りっぱなしの現代人の腰痛の悩みは身近かつ深刻。腰痛予防のトレーニングでは、お腹を凹ませたまま呼吸し、インナーマッスルを鍛える「ドローイン」が有名ですが、簡単なヨガのポーズから始めてもいいことがわかりました! 体幹深部筋を研究する大学教授が薦める「痛まない腰」を作るエクササイズを紹介します。
“痛くならない腰”を作るエクササイズ
・ドローインじゃなくていい 腰痛対策の新常識【1】←今回はココ
・ぎっくり腰経験者は、腰を守る対策をすぐ始めるべき理由【2】
・「よっこいしょ」は腰を守る魔法の言葉?骨盤も安定【3】
腰痛は運動療法で減らすことができる
腰の張りや痛みがずっとあるのに、血液検査やレントゲン、MRIなどの画像診断では「異常なし」。そんな原因が特定できない腰痛を抱える人は多い。
「消炎鎮痛剤や鍼灸(しんきゅう)・マッサージ、温熱など、腰痛を緩和する方法はたくさんある。しかし、それらは対症療法で、その場しのぎにしかならない。腰痛は、運動療法で体幹の筋肉がうまく使えるようになれば、減らすことができる」
そう話すのは、体幹深部筋と腰痛の関係に詳しい早稲田大学スポーツ科学学術院の金岡恒治教授。
体幹の筋肉を「うまく使う」とは、動作に応じて、必要な筋肉を適切なタイミングで動かすこと。これを『モーターコントロール』といい、姿勢の支持に深く関わっている。
「モーターコントロールが機能すると、動作の際、最初に深層筋が動いて体幹(腰椎)を安定させてから、浅層部の筋肉が動く。すると腰痛を予防し、悪化も防げる」
モーターコントロールの機能はもともと、中枢神経に備わっている。ところが、前かがみ姿勢などの不良姿勢や運動不足が続くことで、多くの人は機能不全に陥っているという。
「その機能を獲得するための運動療法が『モーターコントロール エクササイズ』。繰り返し行うことで、確実に深層筋が先に働くようになる」(金岡教授)。
モーターコントロール エクササイズはこんな人にお薦め
- □ 腰が反っている、または丸まっていると言われたことがある
- □ ぎっくり腰になったことがある
- □ 腰痛が出やすくなってきた
- □ 40歳以上である
モーターコントロール エクササイズに当たる代表的な方法が、ピラティスやヨガだという。なかでもヨガのポーズを一工夫したお薦めのエクササイズを、次ページから詳しく紹介する。