第2回では、モーターコントロールが機能することで、腰まわりの筋肉や関節への負担が減ることをお伝えしました。今回は、モーターコントロールの強化に最適なエクササイズの一つである、腕や、重い脚を片方ずつ上げるハンドニーをご紹介します。ポーズが安定すると、歩行時の姿勢も安定。腰痛のリスクがグッと下がります。
“痛くならない腰”を作るエクササイズ
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腰痛が起きない体になりたい人は【体幹深部筋トレ】
腰痛予防のために続けたいもう1つのモーターコントロール エクササイズが、ピラティスでおなじみの『ハンドニー』だ。
人は立位で歩いたり、走ったりする際、足を交互に踏み出すが、この時、どうしても腰椎に強い負荷が生じてしまう。ハンドニーで、腹横筋と多裂筋の2つの深層筋を鍛えて、腰椎を支える力を強化していこう。
「このポーズは第2回のチェックでわかるとおり、できるか否かが歩行時の姿勢に直結する。特に大事なのが脚上げ。脚を上げる動作は多裂筋を鍛えるし、腹横筋が自然と働けば骨盤がぐらつかずに脚が上がる。腰の上にティッシュペーパーの箱をのせて落とさないように行うと、骨盤の傾きや体幹の安定性をチェックできる」(整形外科医で、早稲田大学スポーツ科学学術院の金岡恒治教授)
モーターコントロールの強化とは、ターゲットの筋肉を太くするのではなく、うまく働くよう再教育することを意味する。そのため、エクササイズを続けることが、何よりも重要だ。
「ドローインじゃなくていい! 腰痛の新常識【1】で紹介したキャットのポーズから子どものポーズ、そしてハンドニーを、それぞれ3、4カ月は繰り返してほしい。すると、何かの動作の前に深層筋を動かす、という機能が脳にインプットされる」(金岡教授)
最後に、腰痛予防はこれらのエクササイズと合わせて、日々、痛みが出ないように動くことも大切だ。例えば、立ち上がるとき、重いものを持ち上げるときに「よいしょ」「どっこいしょ」などと声を出すことも、「腰を守る点ではよい」と金岡教授。
「声を出すと、自然に深層筋が入るので体幹が安定する。例えば、テニスの選手が打撃の瞬間、声を上げるのも腹横筋が入るため。このように場面、場面で深層筋が先に入り、浅層筋が後に動くようになれば、多くの腰痛の悩みは解消できる」(金岡教授)