日本では選挙の投票率が低く、国民の政治への関心も高いとはいえない状況です。しかし、ジェンダーギャップの解消やダイバーシティ&インクルージョン推進のためには、一人ひとりの政治参加が必要です。どうすれば政治に関心を持ち、選挙だけではなく政治に参加できるようになるのでしょうか。新聞14紙を読み比べ、政治に関するコラムを執筆している、お笑い芸人のプチ鹿島さんに聞きました。

政治は身近な「自分事」

日経xwoman編集部(以下、――) 2021年10月末の衆院選の投票率は戦後3番目に低い55.93%でした(※1)。国民の政治的関心が高いとはいえない状況ですが、どうしたら政治に興味が持てるようになるでしょうか。

プチ鹿島さん(以下、プチ鹿島) みなさん、政治が特別で遠いものだと思っているんじゃないでしょうか。本当は政治って、すごく身近なものなんですよ。

―― 政治というと、おじさんたちが密室の中で話し合って決まるもの、というイメージです。

新聞14紙を読み比べ、時事ネタを披露したり、政治に関するコラムを執筆したりしているプチ鹿島さん
新聞14紙を読み比べ、時事ネタを披露したり、政治に関するコラムを執筆したりしているプチ鹿島さん

プチ鹿島 例えばみなさん、職場の同僚や友人と「今日のランチは何にしようか」「和食がいい? 洋食がいい?」「私は和食の気分だな」と話し合うことがありますよね。その中で主導権を取る、同調圧力をかける、多数派工作をする……ということもあると思います。これも政治です。

 それを経済政策や社会政策といった大きなテーマで専門的に話し合っているのが、国会で行われている政治です。国民はみんな自分の仕事や育児で忙しいし、政治家が代わりに話し合って決めてくれているんです。だから、衆院議員を代議士というんです。

―― なるほど。そう考えると、少しは政治が身近に感じられそうです。

プチ鹿島 その上で「人」に興味を持つと、面白いですよ。「どうして、この政治家はいつも偉そうなんだろう」「どうして岸田首相はいつも青いノートを持ってるんだろう」「どうして石原伸晃さんは選挙で落ちたのに、内閣官房参与に起用されかけたんだろう」とか、とっかかりは何でもいいんです。やじ馬根性でかまいません。

 ちなみに岸田首相のノートは、甘利明さん(過去の金銭授受問題が再燃して衆議院選挙の小選挙区で落選し、自民党幹事長を辞任)、高木毅さん(国会対策委員長の就任を機に過去の下着窃盗の記事が再注目された)、石原伸晃さん(批判の声が大きく、内閣官房参与を辞任)……と起用した人が転落していくので、僕は「デスノート」だと思っています(笑)。

 でも、そのうちに「この政治家にも大義名分があるんだろうな。どんな政策を打ち出しているか、見てみよう」と政策にも目を向けられるようになります。自分が20~30代で若ければ将来の年金対策に力を入れているのは誰か、子育て世代なら給付金対策に力を入れている政党はどこかを調べてみてもいいですね。

―― そうやって調べていくと、選挙で投票するときにも役立ちそうですね。22年は夏に参議院選挙がありますが、一人ひとりが政治家や政党に興味を持つと、投票率も上がるかもしれません。

プチ鹿島 ただ、実は世の中には「今のまま投票率が低ければいいのに」と思っている人もいるんですよ。