日本では選挙の投票率が低く、国民の政治への関心も高いとはいえない状況です。しかし、ジェンダーギャップの解消やダイバーシティ&インクルージョン推進のためには、一人ひとりの政治参加が必要です。どうすれば政治に関心を持ち、選挙だけではなく政治に参加できるようになるのでしょうか。ドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』『香川1区』を監督した大島新さんに聞きました。

「安易な一票」と「熱意を込めた一票」が同じ重みでいいのか

日経xwoman編集部(以下、――) 大島さんは立憲民主党・小川淳也衆院議員の初出馬から17年間を記録したドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を発表されました。続編の『香川1区』では、2021年の衆院選での小川さん、自民党の平井卓也さん、日本維新の会の町川順子さんの攻防を撮影されています。もともと政治に興味があったのですか。

ドキュメンタリー監督の大島新さん。最新作の『香川1区』では21年10月の衆議院選をテーマに、立憲民主党・小川淳也さん、自民党・平井卓也さん、日本維新の会・町川順子さんの激しい選挙戦を追った
ドキュメンタリー監督の大島新さん。最新作の『香川1区』では21年10月の衆議院選をテーマに、立憲民主党・小川淳也さん、自民党・平井卓也さん、日本維新の会・町川順子さんの激しい選挙戦を追った

大島新さん(以下、大島) はい。もともと関心があり、政治をテーマに撮影したいと思っていましたが、テレビ局勤務時は報道セクションではなかったので機会がありませんでした。小川淳也さんは私の妻の高校時代の同級生で、「小川くんが家族や周囲の猛反対を押し切り、官僚を辞めて選挙に出るらしい」と聞いて、「そんな人がいるんだ。面白そうだな」と。最初は小川さんという人に興味があり、発表のあてもなく撮り始めました。

―― 実際に政治家や政治を間近に見る中で、何か思うところはありましたか。

大島 『香川1区』には「会社にいわれて期日前投票をしに来た」という人が登場するのですが、それを見たツイッターのフォロワーから「自分も会社からいわれた候補者に投票した覚えがあります。恥ずかしながら、当時は疑問に思っていませんでした」という反応がありました。そうした一票と、自分で候補者を吟味し、熱意を込めた一票も同じ一票なわけですよね。これはどうしたものかと。

 改めて選挙や選挙に関心を持つのは、重要なことなのに簡単ではない、という思いを強くしました。