川久保皆実さん(36)は2020年10月、茨城県つくば市議会議員選挙に出馬し、当選しました。東京大学大学院を卒業後はITベンチャー企業に勤務しながら、司法試験に挑戦し合格。弁護士としても活躍する中、なぜそれまで無縁だった政治の世界に飛び込んだのでしょうか。下編では、市議としての活動とそのやりがい、そしてこれから、選挙にチャレンジしたい人たちへ伝えたいことについて聞きました。
【上】川久保皆実 保育園のモヤモヤきっかけに出馬へ
【下】つくば市議 「生きている間に仕組みつくる」が原動力 ←今回はココ
―― 3カ月間の選挙に向けた活動を経て、2020年10月のつくば市議会議員選挙で見事3位で当選しました。現在は2年目ですが、政策の実現度合いはいかがでしょうか?
川久保皆実(以下、川久保) そうですね、すべてが思い描いていた通りとはいかないまでも、実現に向けて着実に動いていると思います。
私が出馬の際に掲げていたのは、「公立保育所の制度改革」「病児保育の支援拡充」「学童保育でのお弁当注文制度の導入」「効果的なオンライン授業の実現」「託児所付テレワーク施設の新設」という5つの政策です。
「公立保育所の制度改革」は、出馬のきっかけとなった保育園のお昼寝布団持ち帰りや白飯持参についてです。保育園側で洗濯不要の寝具を用意してもらうのは予算的に難しそうだったので、保護者が布団を購入する際、洗濯や天日干し不要のお昼寝マットを選べるようにして、そのマットを使っている人は持ち帰り不要、というルールにできないかと考えました。
保育園の保護者会の皆さんと一緒に、どの商品がいいか検討し、市の幼児保育課にもOKをもらってと、動いた結果、2021年4月から、息子が通う保育園では、お昼寝マットを使っている人は持ち帰り不要、という運用にできました。1年間の運用結果をまとめて、他の園にも広げるべく、市や保育園に働きかけていく予定です。
それから、保育園での白飯持参とオムツ持ち帰りですね。こちらは保育園の保護者会側からも強く要望が出て、改善に向けて動いていたこともあって、2021年4月から全園でオムツ持ち帰りが不要になりました。白飯もまずは4園で、保育園からの提供に切り替わり、こちらは2023年までに全園に広がる予定です。
「病児保育の支援拡充」と「効果的なオンライン授業の実現」は、市の方で力を入れて進めています。「託児所付テレワーク施設の新設」も、つくば駅前に新しくできるテレワーク施設に子連れワーキングスペースがつくられることになりました。託児所ではないのですが、スタッフに子どもを見守ってもらいながら働ける場所になる予定です。
―― 「学童保育でのお弁当注文制度の導入」はいかがでしょうか。
川久保 2021年の夏休み前に、児童クラブへ配達可能なお弁当業者一覧が保護者に配布され、保護者が個別に注文可能となりました。とはいえ、オンラインで簡単に注文できる仕組みにはなっていないため、より利用しやすい制度になるよう市に働きかけを続けています。また、オンライン注文の先行事例をつくるべく、お弁当持参が必要な市内の私立学校の保護者と一緒に、アプリを使って地元のお弁当屋さんに注文できる仕組みづくりを進めています。