「女性は数学が苦手」の無意識な決め付けも不平等の原因に

 ジェンダーギャップ指数では、政治参画・経済参画・教育・健康の4分野ごとにスコアと順位が発表されますが、日本は政治・経済のスコアが特に低くなっているのが特徴です。

 2020年12月に閣議決定された「第5次男女共同参画基本計画」の説明資料では、女性議員比率(下院または一院制議会)は、フランスが39.5%、英国が33.9%、ドイツが31.2%であるのに対し、日本の衆議院では9.9%であることや、管理職に占める女性の割合は米国が40.7%、スウェーデンが40.2%、英国が36.8%であるのに対して日本は14.8%にとどまっていることが報告されています。

 また、「第5次男女共同参画基本計画」では、日本においてジェンダー平等の実現が遅れている要因として、次のようなことを挙げています。

<政治分野>
・立候補や議員活動と家庭生活との両立が困難であること
・人材育成の機会の不足
・候補者や政治家に対するハラスメントが存在すること

<経済分野>
・女性の採用から管理職・役員へのパイプラインの構築が途上であること

<社会全体>
・固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)が存在していること

 「政治分野では『選挙は家族ぐるみで戦うもの』という風習が根強く残っているところもあり、女性に家族を支える役割を求めているケースもあると聞きます」と永田さんは話します。こうした点を踏まえ、「第5次男女共同参画基本計画」では、政党に対し、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の趣旨に沿って女性候補者の割合を高めることを要請したり、地方議会において議員活動と家庭生活との両立やハラスメント防止などの取り組みを要請したりすることなどが盛り込まれています。

 また、「第5次男女共同参画基本計画」の説明資料によると、教育の分野では理系の研究職・技術職に占める女性の割合が、英国は38.6%、米国が33.7%、ドイツが27.9%であるのに対し、日本は16.6%と、ここでも大きなジェンダーギャップがみられます。

 「進路指導や受験指導の場面で、学校や塾の先生が『女性は数学が苦手だから』といった発言をするケースがあるかもしれません。ですが、実際には数学が苦手な女性もいれば、得意な女性もいます。そういった個人の特性に目を向けずに、『女性だから苦手』といった決め付けをするような発言は、女性が理工系の進路を選択する可能性を狭めてしまう恐れがあります