「登壇するのにふさわしい女性がいない」は本当か?
この1年で日本人のジェンダー観は、大きく変わってきました。僕がジェンダーギャップについて宣言したことで、講演会などで登壇の依頼を受ける際にも、登壇者の男女比をあらかじめ明記してくれたり、そもそも企画から見直したりしてくれたりすることが増えています。
昨年、ある大企業のコンペの審査員を務めた際、女性審査員が一人だけだったので、来年は辞退するのでジェンダーバランスももう少し考えませんか、と伝えたところ、「審査員は5対5にしました」と返事が来ました。
こうした主催側の意識の変化は、「女性の登壇者が見つからない」というのが、単なる思い込みだったことに気づくきっかけになります。そもそも今までは「上場を果たした起業家」など、「規模が大きいのが成功」という男性的価値観にのっとった基準でばかり登壇者を選んでしまっていただけで、バイアスをなくし選定基準自体を見直せば、「こんなすてきな人もいたのか」という発見があるからです。
そして、審査員に女性が入ると、コンペの応募者にも女性が増えるというポジティブな影響もあります。
また最近では逆に、これまで女性だけで議論を重ねてきたジェンダー会議から、男性である私にも入ってほしいと声が掛かることも増えました。
政府は管理職比率の目標を最長10年ほど先送りにしましたが、もっと早く、あと3、4年もすると、日本人のジェンダー観も大きく変わってくるのではないか、という気がしています。