ジェンダーバイアスがあると、意識することが重要
多様性を認めるなどの変化には、少なからず居心地の悪さを伴います。例えば僕らの世代には、女性とご飯へ行くと、男性が「会計を済ませておいたから」というのがかっこいいというすり込みがあり、割り勘にするほうがしんどい。ですが、女性がそれを望んでいるかというと、それも押しつけかもしれないわけで、無意識のジェンダー観を再生産しないためにも、無意識のバイアスを自覚する必要があります。
また、ジェンダー「ギャップ」というと、男女という二者の比較になりがちですが、本当はもっといろいろな多様性がある。しかしダイバーシティは一足飛びにはいかないので、モノクロームの世界に一色ずつ色を足していくように、LGBTQを含め、あらゆるマイノリティーについての価値観の死角に気づいていくことが求められてくるでしょう。
今の私たちにとって大切なのは、「無意識の死角が自分にもあるのでは?」と考え、常に、それを意識していくこと。面倒だからと言って、自分のコンフォートゾーン(居心地のいい場所)に居続けるだけでは、さすがにもういけない。持続可能な社会のために、それぞれが改めていかなければなりませんね。
取材・文/武末明子(日経xwoman編集部)