世界経済フォーラム(WEF)が発表した「ジェンダーギャップ指数2021」で、日本の順位は調査対象156カ国中、120位だった。過去最低となった2020年の121位(153カ国中)から変わらない水準だ。順位向上には何が必要なのか。今回は、アート思考キュレーターで、ITベンチャー「uni’que(ユニック)」社長の若宮和男さんに話を聞いた。

 若宮和男さんは、女性が主体となってスマホアプリなどの事業を展開する「uni’que(ユニック)」を2017年に創業。2020年7月には「25%以上女性登壇者がいないイベントの登壇は丁重にお断りします」と自身のブログで表明し、注目されました。そんな若宮さんは、今回の120位というジェンダーギャップ指数をどう見ているのでしょうか?

若宮和男(わかみや・かずお)さん/uni’que社長、アート思考キュレーター、ランサーズタレント社員
1976年、青森県生まれ。建築士としてキャリアをスタートし、その後、東京大学でアート研究者となる。2006年にモバイルインターネットに可能性を感じIT業界に転身すると、NTTドコモやDeNAで複数の新規事業の立ち上げに携わる。2017年に、全員複業、女性主体のuni’que(ユニック)を創業。著書に『ハウ・トゥアート・シンキング 閉塞感を打ち破る自分起点の思考法』(実業之日本社)がある。

最大の問題は、無意識の偏見に気づけていないこと

 まず、僕はこのジェンダーギャップ指数について、「健康と生存率」や「教育達成度」の測定法にミスリードなところもあると考えており、総合順位だけを取り上げて一喜一憂すべきではないと思っていることを伝えておきます。ただ、一方では、今回のような指標があることで、(特にビジネスや政治への参画についての)社会的問題の本質的な改善に向かうきっかけになってほしいとも期待しています。

 今の日本におけるジェンダーの問題は「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」にあると思います。

 おそらく、女性蔑視発言で物議を醸した森喜朗元首相も、自分では女性を差別・蔑視しているつもりはなかったのでしょう。森氏は新聞の取材に対し「妻と娘に怒られた」と話し、家庭では女性を尊重していることをアピールしていました。ただ、実際のところ「女性の尊重」は、あくまで家庭内に限った話であり、仕事や会議においてではない。つまり、そもそもの役割を女性と男性で決めつけてしまっており、かつそれが男性側から押しつけられたものだという、アンコンシャス・バイアスに気づけていなかったんですね。

 また、政治やビジネスのジェンダーバランスについて「数字合わせをしても仕方がない」という批判や、女性の昇進意欲に関する調査結果をうのみにし、「女性は管理職になりたがらない」と主張したりする人もいます。ただ、そもそも家事を押しつけたり、評価に差を付けたりと、環境要因で非対称な制約をかけておいて、「本人がそれを望んでいない」と言うのは、フェアじゃないだろうと僕は思います。問題は、こうした「決めつけ」が、差別や蔑視につながるという自覚がないことだと思っています。

 では、そもそもなぜ、日本のジェンダーにおいて、こうしたアンコンシャス・バイアスは生まれるのか。僕は、「生存者バイアス」が、差別を強化していることも原因の一つだと思っています。